今回は病院で勤務する薬剤師の花形(僕が勝手にそう思っているだけですが…)である、病棟(常駐)薬剤師について書きたいと思います。
ちなみに、僕は今病棟薬剤師として働いているわけではありませんが、6年間ほど病棟の経験がありますので、その時のことを振り返りながら書きます。
※あくまで僕の勤務先でのことを書きますので、全ての病院が同じ状況ではないことを頭の片隅に入れながら読んでいただけたら幸いです。
病棟薬剤師ってどこにいるの?
先生や看護師はナースステーションにいるイメージがあるかもしれませんが、実は病棟薬剤師もナースステーションにいます。僕の勤務先の病院では、ナースステーションの一角に薬剤師専用のデスクを置いてもらって、専用のパソコン(電子カルテ用)も設置しています。
入院病棟が8病棟あり、それぞれの病棟に病棟薬剤師を配置しているため、8台分のデスクとパソコンを設置していることになります。それらのデスクは他職種の方も使用可ですが、薬剤師が病棟にいる間は薬剤師以外は使えないような環境になっています。
病棟薬剤師って何してるの?
病棟薬剤師がナースステーションにいることは分かっていただけたかと思いますが、ただただナースステーションにいるだけでは全く意味がありません。
むしろスペースまでもらっておいて何もしないというのは、他職種からしたらブーイングの対象になること必須です。具体的に何をしているのかを紹介したいと思います。
持参薬管理
入院したことがある方であればご存知かもしれませんが、入院して何か新しい薬が始まる・変更するにしても、まずは普段使用している薬剤を医療従事者が把握しないことには何も始まりません。
普段使用している薬を患者さんが病院に持参した(持ってきた)薬を持参薬と言います。その持参薬の把握・管理を病棟薬剤師が行います。
患者さんが持っているお薬手帳や紹介状に記載してあることだけではなく、実際に持ってきた薬その物を見たり、患者さんと面談することでより詳細に現在の投薬状況を把握するように努めています。
持参薬あるあるとして、お薬手帳では服用していることとなっているが実際は患者さんの自己判断で服用を中止にしていた、1日1回内服と指定されていたが1日2回内服していた、などなど、紙上での情報と実際では大きく解離していることが多々あります。もちろん自己判断は良くないことですが、そこを指摘するわけではなく、それらを踏まえて、これからの治療がうまくいくようにサポートしています。
新規薬剤・変更薬剤の説明
調剤薬局でもよく見かける服薬指導です。
「この薬は〇〇に効く薬で、少しお腹の調子が悪くなるかもしれません。」
「今日からこの薬は1日1回から1日2回に回数が増えるので、飲み間違えに注意して下さい」
…などなど
上記のような説明を病室やナースステーションで行います。説明自体は病棟薬剤師ならではの事ではないので、少し省きます。
状況確認
入院患者さんは、何か病気を治そう!良くしよう!という目的で入院しており、薬も含めていろいろと状況が変化していきます。
その状況変化の中で、新しく始まった薬の効果はしっかりと出ているのか?何か副作用が起きていないか?などに注視出来るのは病棟薬剤師です。
先生方は病気を治そう!!といろいろ試行錯誤をして治療方針を決定し効果判定をしますが、時間の制限やマンパワーの問題で副作用の有無などの詳細まではなかなか観察できないのが現実です。
そこで、病棟薬剤師がしっかりと状況確認を行い、もし気になることがあれば対策法を含めて医師に相談することでより安全な医療に繋がっているのではないかと思います。
患者さんからの相談応需
病棟内をフラフラ(暇というわけではありません(笑))していることが多いので、よく患者さんから話しをかけられることがあります。内容は取り留めもない世間話のこともあれば、薬についての相談であることもあります。
「先生からこの薬始めるって言われたけど、実は嫌なんだよね~」
「あの錠剤の薬が大きくて実は飲みにくいのよね~」
「あの薬が始まってからフラフラするけど副作用かしら?」
上記のような相談を受けることが多々あります。こういった患者さんからの相談を受けて「これはこうした方が良いですよ」などのアドバイスができたり、「もしかしたらあの薬の影響かもしれない」と考えられるのは薬剤師ならではだと思います。この相談を元に薬剤の変更等を行い、より治療がスムーズにいくことが多々あります。
医療従事者からの相談応需
「あの薬とこの薬の飲み合わせってどうかな?」
「この薬って1日3回で良い?」
「(注射で)この薬とこの薬混ぜて患者さんに投与して良い?」
「〇〇さん、この薬を始めてから調子悪そうだけど、薬の影響って考えられる?」
ナースステーションにいると多種多様な相談・質問を受けます。
病棟に薬剤師がいないと、病院内の薬局にわざわざTELして同様の質問等をすることになりますが、意外とこのTELがネックになります。
病棟に普段から薬剤師がいれば、その相談したい患者さんのことを既に把握している薬剤師に聞けるので話もスムーズだし、いろいろな事情も踏まえた上で答えてくれるかもしれませんが、普段薬局にいる薬剤師ですとそうはいきません。相談する側としても一から説明するのが面倒で、結局「質問しなくていいや!」となってしまうのも致し方ありません。近くに薬剤師がいる、というだけかもしれませんが、他の職種からは重宝されているような気がしています。
その他
病棟にいると本当にいろいろなことがあります。
それ薬剤師に聞く?っていうような内容の相談を受けたり(患者さん、医療従事者とも)、突然処置の手伝いをすることになったり、、いろいろとありますが、自分自身の勉強になることは間違いないです。何事も経験に勝るものはないと思って働いています。
まとめ
病棟薬剤師の仕事内容を全て書き出すと、まだまだ長くなってしまいそうなので今回は一旦ここで終わりにしたいと思います。
患者さんであろうと、医療従事者であろうと病棟で薬剤師を見かけた際にはいろいろと活用してもらえたらなと思います(意外と患者さんの薬を取り仕切っているのが医師ではなく、病棟薬剤師であることも多々あります)。
それでは、他のことに関しても書きたくなったらまた別記事で書こうと思います。
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