薬剤師とザリガニの奮闘記

~薬ザリ(yakuzari)の備忘録~

セファゾリン(CEZ)供給停止!!

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ブログを始めたころは毎日更新!を目指していましたが、本業のお仕事が最近忙しくてなかなか記事を書けていません…。

忙しくなった理由と現状を今回は書いてみたいと思います。

忙しくさせている犯人はセファゾリン注射用「〇〇〇」!!

病院に勤めている薬剤師であれば、全員が知っているであろうセファゾリン(ちなみに先発医薬品はセファメジンです。上の〇〇〇にはあるメーカー名が入ります)。

セファゾリンという薬は第一世代セフェム系抗生物質の点滴で、日本ではMSSA(メチシリン感受性黄色ブドウ球菌)感染症の第一選択として重宝されています。その他、手術を行う際の予防抗菌薬としても使用頻度が高い薬剤です。

そのぐらい大事な薬なのですが、2月末にメーカーさん(〇〇〇)からこんな情報が入りました

原薬入荷および製造等の問題により製品供給に支障をきたします

??

手に入らなくなる??セファゾリンが??

いつ供給再開するの??

→早くて秋口になります。

これは一大事です!!!

少なく見積もっても半年間セファゾリン無しで凌がなければならないということです!!
すぐに行動を起こさないと大変なことになってしまいます!!

供給停止の理由

メーカーとして異変を感じ始めていたのは去年の年末あたりからのようです。原薬がスムーズに納品されなくなり始めていたのに加え、今年の1月には製造した薬の3/4に異物が混入するという事態に陥ったようです。この時点で情報を開示しておけば良いものを、〇〇〇は流通には影響を及ぼさないと判断して黙っていました(というか情報を開示しないという選択肢を選んだ対応はあり得ない)。しかし2月になって、とうとう製造した薬のすべてに異物が混入するという結果になってしまい、ようやく情報を公開。正直最悪な対応です。このようなメーカーがセファゾリンの全国シェア6割を担っていたというのだから驚きです。。

対応その1~他メーカーのセファゾリンを探す~

実は、セファゾリンという薬については国内では数社から販売されています。だいたいの病院ではその数社の中から1社を選択し、そこから購入していると思います。当院でも〇〇〇と契約して購入しておりました。しかし、今回はこの〇〇〇で作られているセファゾリンが製造等の問題で供給できなくなるとのことで、〇〇〇以外の各メーカー・卸に連絡を取り購入できるかを確認しましたが答えは皆同じ。

「出荷制限がかかっており、新規のご施設での購入は難しいです」

ガーン!!

ある程度予想はしていましたが、やはり他社からの購入は無理なようです(メーカーとしては元々契約していた施設に優先して販売して、契約施設に迷惑をかけないように制限することは当たり前と言えば当たり前の対応です)。

対応その2~代替薬を探す~

セファゾリンに代わる薬は正直ありません!!が、緊急事態なのでどうにかしてセファゾリンの代わりとなる薬剤を選定しなければなりません。

緊急で院内のASTメンバーが集まって臨時会議です。

手術時の予防抗菌薬として使用する際の代替薬については、

「術後感染予防抗菌薬適正使用のための実践ガイドライン」

というガイドラインがすごく参考になります。そちらに記載されている内容を見てみると、当院で行う手術に関しては「セフォチアム」「スルバクタム/アンピシリン」「フルマリン」あたりが代替薬の候補になりそうです。

しかしこの時点で懸念されることが2点ありました。

①「スルバクタム/アンピシリン」については元々去年から出荷制限がかかっており、追加での購入は難しいだろう

②「フルマリン」は先発医薬品であるため薬価が高くなる(当院はDPC病院のため、かかった薬剤費がそのまま病院の損失につながってしまいます)

以上のことから、ASTとして推奨する薬剤としては「セフォチアム」と「スルバクタム/アンピシリン」にすることを決めました(「スルバクタム/アンピシリン」については購入可能だったらという条件付きで)。

対応その3~各メーカー・卸に片っ端から連絡~

上記の決定事項を遂行するためには、まずは代替となる薬を準備しないことには始まりません。普段のセファゾリンの使用量がそこまで多くなければ何も問題ないのですが、おそらくどこの病院も大量に使用していたことかと思います。そのため、代替薬の数もある程度の個数を確保しなければなりません。

しかし、連絡する先々で「すでに出荷制限がかかっております」の嵐。。

全く集められる気配がありませんでしたが、こんな状況でもある卸さんはいろいろと対応してくれて、出来る限りの対応をしていただきました。

こういう時に親身になって対応してくれる卸さんやメーカーさんには大変感謝です!!

その反面、今回の〇〇〇の対応はなんなんだ…ブツブツブツ。。

対応その4~医局への説明と使用抗菌薬の変更依頼~

今まさにこの段階です。「セファゾリン」という薬は特性上どこの科の先生も使う薬剤であるため、院内の全医師にこの非常事態を伝える必要があります。しかも非常事態を伝えるだけではなく、「セファゾリン」の代替薬を示さなければなりません。しかしその代替薬もどれだけ確保できるのか未だ不明で、はっきりと返答できない現実。。もどかしい限りです。

対応番外編~アンチバイオグラムについて~

普段の診療の中でアンチバイオグラムを使用する機会はあるかと思いますが、今回の一件でも大いに活用できるであろうアンチバイオグラム。

今一度アンチバイオグラムの活用方法を復習してみたいと思います。

詳しくは下記の記事にまとめましたので、気になる方はチェックしてみて下さい。

www.yakuzari.work

セファゾリン供給停止についてのまとめ

セファゾリンが手に入らなくなるというのは非常事態ではありますが、こういう時こそ職能をしっかり発揮していかなければならない!と気合を入れているつもりです。なかなか解決策が見いだせない現状に今後も頭を悩ますこととなりそうですが、下記のような本を参考に頑張っていこうと思います。

ちなみにこの「感染症プラチナ」ですが、白衣のポケットにも入れることが出来る絶妙なサイズのくせに、欲しい情報が網羅されているすばらしい本ですよ!!

気になる方はチェックしてみて下さい!

【追記:2019年4月2日↓↓】
厚生労働省からセファゾリンの代替薬についての事務連絡がありました。詳しくはこちらの記事にまとめましたのでご覧ください。

www.yakuzari.work

【追記:2019年4月24日】
感染症を勉強している人であれば多くの人が知っているであろう「IDATEN」からセファゾリン代替案が公開されました。要チェックです。

IDATEN世話人会からのセファゾリン代替え案