薬剤師とザリガニの奮闘記

~薬ザリ(yakuzari)の備忘録~

HIF-PH阻害薬「ダーブロック錠」について

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※当記事は医療従事者(特に薬剤師)向けの内容となっています。ご了承ください。


腎臓領域でホットな話題となっているHIF-PH阻害剤


とうとう、保存期の腎不全症例にも使用可能となる薬剤に製造承認が下りたとの情報が入りました。


その新薬は「ダーブロック錠」


昨年11月に発売された同種同効薬にあたる「エベレンゾ錠」とも比べながら基本情報をまとめてみたいと思います。


※8月26日、薬価収載となりましたので薬価情報を追記しました

ダーブロック錠の基本情報

添付文書を中心に基本情報をまとめていきます。

成分名

ダプロデュスタット

商品名(ダーブロック)の由来

IFに「特になし」との記載あり

薬価

1mg:105.4円/錠

2mg:185.50円/錠

4mg:327.4円/錠

6mg:456.1円/錠

※8月26日に薬価収載されました

効能効果

腎性貧血

用法用量

保存期慢性腎臓病患者・赤血球造血刺激因子製剤で未治療・治療開始時にHb≧9.0g/dLの場合

→通常、成人にはダプロデュスタットとして1回2mgを開始用量とし、1日1回経口投与する。以後は、患者の状態に応じて投与量を適宜増減するが、最高用量は1日1回24mg。



保存期慢性腎臓病患者・赤血球造血刺激因子製剤で未治療・治療開始時にHb<9.0g/dLの場合

→通常、成人にはダプロデュスタットとして1回2mgを開始用量とし、1日1回経口投与する。以後は、患者の状態に応じて投与量を適宜増減するが、最高用量は1日1回24mg。



保存期慢性腎臓病患者・赤血球造血刺激因子製剤から切り替える場合

→通常、成人にはダプロデュスタットとして1回4mgを開始用量とし、1日1回経口投与する。以後は、患者の状態に応じて投与量を適宜増減するが、最高用量は1日1回24mg。



透析患者の場合

→通常、成人にはダプロデュスタットとして1回4mgを開始用量とし、1日1回経口投与する。以後は、患者の状態に応じて投与量を適宜増減するが、最高用量は1日1回24mg。

警告

脳梗塞、心筋梗塞、肺塞栓等の重篤な血栓塞栓症があらわれる可能性がある。本剤投与中は、患者の状態を十分に観察し、血栓塞栓症が疑われる徴候や症状の発現に注意すること。

禁忌

本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

相互作用

クロピドグレルトリメトプリル
→CYP2C8阻害によるダーブロックの血中濃度上昇

リファンピシン
→CYP2C8誘導によるダーブロックの血中濃度低下

副作用

・血栓塞栓症

・網膜出血

・過敏症(発疹、皮膚炎、蕁麻疹)

・高血圧

食事の影響

下記のようなデータが公表されています。

ダーブロックを単回投与した際の血中濃度推移
ダーブロックを単回投与した際の血中濃度推移

空腹時に比べて食後のTmaxが少し遅れていますが、AUCを考えれば食事の影響はないものと考えて良さそうです。

ダーブロック錠の第一印象

何と言っても適応が気になって仕方ありません。



現時点で先行発売されている「エベレンゾ」との大きな違いは適応にあります。

エベレンゾは透析患者にしか適応がなく、保存期腎不全患者には使用不可。

しかし、今回の「ダーブロック」は保存期腎不全でも使用可能。

今までは保存期腎不全で腎製貧血が進行してきた場合、いわゆる赤血球造血刺激因子製剤を使用していましたが、今後は内服での管理も可能となります。



発売1年以内は長期処方不可のためどの程度の症例で実際に使用されるかは不透明ですが、多くの症例が使うことになっていくことが予想されます。

よって、このHIF-PH阻害剤は今後「群雄割拠」の時代に突入することになるでしょう。



今回の「ダーブロック」は製造販売元:グラクソ・スミスクライン株式会社/販売元:協和キリン株式会社、既に発売されている「エベレンゾ」はアステラス、そして今後数社から同種同効薬が発売される見込みとの話があります。

数社から発売になる前に「エベレンゾ」の適応が追加になるかどうかは分かりませんが、このHIF-PH阻害薬から目が離せない状況になることは間違いなさそうです。


8月26日に同時に薬価収載となった「エンレスト」についてはコチラ↓

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その他薬剤について↓

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