新発売になるとの噂は耳にしていましたが、なんとなく自分の病院では採用ないだろな~と鷹をくくって全く勉強していなかった「ラスビック錠75mg」ですが、なにやら当院耳鼻科でよからぬ動きがあるとのこと…。
これは早めに勉強し始めなくては、ということで今回は「ラスビック錠75mg」の基本情報と、それを見てみての私の第一印象を書いてみたいと思います。
ラスビック錠の基本情報を添付文書から抜粋
まずは公開されている基本情報を見てみたいと思います。
商品名
ラスビック錠75mg
成分名
ラスクフロキサシン塩酸塩錠
効能効果
【適応菌種】
ブドウ球菌属、レンサ球菌属、肺炎球菌、モラクセラ・カタラーリス、クレブシエラ属、エンテロバクター属、インフルエンザ菌、レジオネラ・ニューモフィラ、プレボテラ属、マイコプラズマ・ニューモニエ
※ラスビック錠に感性の菌種に限る
【適応症】
咽頭・喉頭炎、扁桃炎、急性気管支炎、肺炎、慢性呼吸器病変の二次感染、中耳炎、副鼻腔炎
用法用量
通常、成人には、ラスクフロキサシンとして1回75mgを1日1回経口投与する
本剤の使用にあたっては、耐性菌の発現等を防ぐため、原則として感受性を確認し、疾病の治療上必要な最小限の期間の投与にとどめること
使用上の注意(一部抜粋)
・てんかん等の痙攣性疾患またはこれらの既往歴のある患者
・重篤な心疾患(不整脈、虚血性心疾患等)のある患者
→キノロン系ではお馴染みの注意ですね。まだラスビックのデータを見ていないのでなんとも言えませんが、おそらく特段発生率が高いものではないのでは?と推測しています。
相互作用
CYP3A4の基質であり、2C8と3A4に対し阻害作用を示すとのこと。
さらにキノロン系ということである種の金属イオンと同時に内服すると難溶性のキレートが作成されて吸収が阻害されるというこれまたお馴染みの相互作用もありますので、併用薬にはだいぶ注意しなければなりません。
併用注意となる具体的な薬剤(ほんの一部です)
・酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、プロマック等
→難溶性のキレート
・フルルビプロフェン
→痙攣を起こす可能性がある
・リファンピシン、フェニトイン、カルバマゼピン
→ラスビックの血中濃度低下(3A4誘導のため)
・プロカインアミド、アミオダロン
→QT延長を起こす可能性がある
・ステロイド剤(外用剤除く)
→腱障害のリスク増
ラスビック錠の添付文書を見てみての薬ザリ的第一印象
正直な感想を言うと、
「採用になったら面倒だな」
というのが頭をよぎり続けています。
適応症等を見てみても、使うのはおそらく耳鼻科の医師が中心になるかと思います。
しかし当院の耳鼻科の医師たちは一切キノロン系の抗菌薬を使用しません。
そのため耳鼻科でのキノロンの乱用というのは普段の業務で全く気にしていなかったのですが、ラスビックが採用になったら放置するわけにもいかなそう…。
そもそも耳鼻科外来でほとんど培養取ってないし!!
だけど、添付文書には
感受性を確認してね!!
と書いてあるけど、これから培養を提出するようにするんですか??
と声を大にして聞きたいです。
ですが、おそらく薬事委員会で採用不可にする大きな理由もないためそのうち採用になるでしょう。
その際に私達に出来ることを考えておかなければなりません。
「薬剤耐性」
という言葉が至るところで聞かれるようになりました。
SmartnewsやYahoo!ニュースで取り上げられることもあります。
一般の方にも気を付けましょう!と言っていてるこのご時世に、医療従事者側がこの流れを遮断しないようにするためにも使用すべきところをしっかりと見極めたいですね。
ラスビック錠に関して今後調べること
ここは私の備忘録として書かせていただきますが、現時点で私自身が調べようと思っていることを書きます。そして調べ終わったものは適宜この記事にアップしていく予定です。
・腎機能低下例への投与量
→パラメーター的には減量は必要なさそうだけど、今一度確認が必要。
・金属イオン含有薬剤と併用する際にどの程度間隔をあければ良いか
・他のキノロン系薬剤との使い分け
その他薬関係についてはこちらもあります↓↓
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