薬剤師とザリガニの奮闘記

~薬ザリ(yakuzari)の備忘録~

【Meijiのバンコマイシン(VCM)】点滴も内服も出荷調整

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バンコマイシン(以下、VCM)は何とか避けられたと思っていたのですが、、とうとう


VCMも新規お断り&出荷調整


の案内が出てしまいました。


原因は小林化工のイトラコナゾール事件にあるわけですが、感染症治療という点では大きなシェアを獲得している製剤であるため現場での混乱は必至です。。


イトラコナゾール事件についてはコチラ↓↓

www.yakuzari.work

バンコマイシン・点滴も内服も出荷調整

まずはMeiji seika ファルマが出している案内文です。

Meijiのバンコマイシン出荷調整について
 

対象の製剤は

バンコマイシン塩酸塩点滴静注用0.5g「MEEK」
バンコマイシン塩酸塩点滴静注用1.0g「MEEK」
バンコマイシン塩酸塩散0.5g「MEEK」

の3製剤になります。


点滴も内服も、感染症診療を行う上で重要なウエイトを占めているのは明らかです。


点滴のVCMは抗MRSA薬として、内服のVCMはクロストリディオイデス ディフィシル(Clostridioides difficile)感染症(※1)の治療薬として無くてはならない存在です。


※1 通称CDIと言われる腸炎


バンコマイシン点滴静注用「MEEK」について

抗MRSA薬の中で使用量が一番多く、且つエビデンスも一番確立していると言っても過言ではないVCM。


他にはテイコプラニン(TEIC)、ダプトマイシン(DAP)、リネゾリド(LZD)、テジゾリド(TZD)がありますが、私の病院ではMRSAが検出されて薬剤を使用するとなると8割ぐらいでVCMが選択されます。


エビデンス、薬剤費、腎機能などを考慮したうえで選択されるのですが、今後は現在のような選択が出来なくなるかもしれません。


バンコマイシン塩酸塩散「MEEK」について

CDIなどの腸炎に使用されるVCMの内服。


CDIに関して全例でファーストで使用するというわけではありませんが、重症例などでは無くてはならない薬剤です。


詳しくは化学療法学会等が出しているCDI診療ガイドラインに詳細が記載されていますので、そちらをご覧ください。


CDI診療ガイドライン作成委員会
「Clostridioides(Clostridium)difficile感染症診療ガイドライン」
和文誌掲載版(フローチャートおよびクリニカルクエスチョンのみ)


バンコマイシンを使用しうる症例を一つ一つ丁寧に見ていく必要あり

私が勤務している病院では両剤共にMEEKを採用しているため入手がゼロになるわけではありませんが、今後満足の量を購入できるかは定かではありません。


どちらにせよ非常に大切な薬剤であることは間違いなく、品薄=患者の予後へ影響する可能性も大です。


こういう時はメーカーに文句を言っていても何も始まらないので、一つ一つの症例を詳細に確認し、VCMである必要がない症例では他剤への変更等を打診していく必要がありそうです。


Meiji seika ファルマに関するその他の情報↓↓
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この記事を書いていてなんとなく思い出したのが、セファゾリン事件。。


あの時のような状況が再来しないことだけを切に願います。。


その時の記事↓↓
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