薬剤師とザリガニの奮闘記

~薬ザリ(yakuzari)の備忘録~

ノルディトロピン(ヒト成長ホルモン製剤)の院内勉強会があったので備忘録!

【スポンサーリンク】

先日、院内の薬局内でノルディトロピンの勉強会があったので、自分のためにも備忘録を残しておこうと思います。

尚、ノルディトロピンには様々な適応がありますが、今回当院で採用になったのは「成人成長ホルモン分泌不全症(重症に限る)」という適応で使用するという前提だったため、他の適応については語れませんので悪しからず。

ノルディトロピンの基本情報

薬剤の基本情報を主に添付文書から抜粋します。

商品名

ノルディトロピン フレックスプロ注

成分名

ソマトロピン

効能効果

骨端線閉鎖を伴わない成長ホルモン分泌不全性低身長症

骨端線閉鎖を伴わないターナー症候群における低身長

骨端線閉鎖を伴わない軟骨栄養症における低身長

成人成長ホルモン分泌不全症(重症に限る)

骨端線閉鎖を伴わないSGA性低身長症

骨端線閉鎖を伴わないヌーナン症候群における低身長

用法用量

骨端線閉鎖を伴わない成長ホルモン分泌不全性低身長症
→通常1週間に0.175mg/kgを6~7回に分けて皮下注

骨端線閉鎖を伴わないターナー症候群における低身長
→通常1週間に0.35mg/kgを6~7回に分けて皮下注

骨端線閉鎖を伴わない軟骨栄養症における低身長
→通常1週間に0.35mg/kgを6~7回に分けて皮下注

成人成長ホルモン分泌不全症(重症に限る)
→通常1週間に0.021mg/kgを6~7回に分けて皮下注

骨端線閉鎖を伴わないSGA性低身長症
→通常1週間に0.23mg/kgを6~7回に分けて皮下注

骨端線閉鎖を伴わないヌーナン症候群における低身長
→通常1週間に0.23mg/kgを6~7回に分けて皮下注

禁忌

糖尿病患者
悪性腫瘍のある患者
妊娠又は妊娠している可能性のある婦人

相互作用

・糖質コルチコイド
→成長ホルモンの成長促進作用が抑制されることがある

・インスリン
→インスリンの血糖降下作用が減弱することがある

副作用

O脚の悪化
けいれん
甲状腺機能亢進症
ネフローゼ症候群
糖尿病
→いずれも「頻度不明」

その他
注射部位反応
成長痛
肝機能数値異常
腹痛
嘔気 等

ノルディトロピンの勉強会で得た情報を羅列します

添付文書等に記載はないけど、MRさんから頂いた情報を羅列してみたいと思います。

副作用の発現頻度について

一応副作用の欄には色々なことが記載されており、その中から抜粋して先ほどの「副作用」の欄に書きました。注射なので注射部位反応はある程度仕方ないかもしれませんが、その他の副作用については実際に耳にしたことはないとMRさんは話していました。

ただし、成人成長ホルモン分泌不全症(重症に限る)に限っての話しです。やはり低身長症に対して使用する際には成長痛等が出現するのはある程度仕方ないのかなとも思います。

1週間当たりの投与回数について

用法用量の欄を見てみると、いずれも「週に6~7回皮下注」と記載されています。

なんとなく気になったので

「実際6回/週と7回/週投与で効果に差はあるのか??」

と聞いてみたところ、下記のような回答でした。

6回でも7回でも効果としては変わりません。ただ、週に1回でも注射する日を無くしたい!と考える患者さんはいて、その時には毎週日曜日は注射休みの日と設定しやすいように6~7回と記載されています」

なので、患者さんの意見を踏まえて回数を決めてあげれば良いのかなと思いました。

各適応の用量について

用法の欄に各適応の用量を記載しましたが、何かお気づきの点はありましたでしょうか??

実は成人成長ホルモン分泌不全症(重症に限る)とその他の適応では用量の桁が1つ違います。

成人成長ホルモン分泌不全症(重症に限る)は他疾患の約1/10となっています。

なぜなのか??

理由としては下記のようなことが挙げられます。

「成人であればある程度体内のホルモンとして産生されており、それを補うために使用するが、他疾患(主に小児)に関しては圧倒的にホルモンの産生量が少なくなっており、その分多く補わなくてはいけない。」

とのこと。

なるほど!

MRさんの説明に妙に納得しました!

ノルディトロピンの薬ザリ的第一印象

成長ホルモン製剤と言うと低身長症に対して小児が使用するイメージが強かったということもあり、自分自身も全く勉強をしたことがない領域の薬剤です。

実際当院では小児科が現在休診となっており、小児に使用する機会は皆無となっています。

しかし、ここ数ヶ月で赴任された内科の先生が成人成長ホルモン分泌不全症(重症に限る)に対して使用したいということで今回採用になりました。

薬剤師としてこんなことを言っても良いのかは分かりませんが、自分が詳しくない領域の薬を勉強するのは楽しいですね。新しい知識を得ることが出来るからでしょうか?

この領域に限らず、いろいろな領域の知識を吸収したいと考える私からは以上です!

その他薬の備忘録をまとめた記事はこちら↓↓
www.yakuzari.work
www.yakuzari.work
www.yakuzari.work
www.yakuzari.work