薬剤師とザリガニの奮闘記

~薬ザリ(yakuzari)の備忘録~

「デキサメタゾン」が新型コロナウイルス感染症の治療薬として認定されました

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2020年7月21日の夜。


「デキサメタゾンが国内で新型コロナウイルス感染症の治療薬として認定されました」


とのニュースが目に飛び込んできました。


つまり、レムデシビルに続いて国内では2つ目の新型コロナウイルス感染症治療薬となります。


今回認定されるまでの経緯等をまとめてみます(私が知っている限りですが…)

新型コロナウイルス感染症の治療薬となった「デキサメタゾン」

デキサメタゾンというのは薬の成分名であり、商品名としては「デカドロン®(錠剤、注射剤)」「レナデックス®(錠剤)」等が知られています(その他後発品等もあります)。


当記事執筆時点では


「デキサメタゾン」が、厚生労働省が出している「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き第2.2版」に掲載され治療薬として認定された。


との情報のみで、正直どの薬剤について認定されたのかがハッキリ分かりません。


内服だけなのか、注射だけなのか、もしくは両方なのか。


デキサメタゾンを扱っている各メーカーのHpを見てみても何も動きがないようなので、状況がハッキリし次第情報をアップしていきます。

「デキサメタゾン」が新型コロナウイルス感染症の治療薬となった経緯

先ほども出た「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き第2.2版」のデキサメタゾンが記載されている部分をピックアップしてみます。

新型コロナウイルス感染症診療の手引き第2.2版
字が読みづらくて申し訳ありません


この文面を改めて読んでみると「デキサメタゾン6mgを経口もしくは静脈内注射」と記載されているので、錠剤と注射剤両方が認定されたような気はしますが…いずれにせよハッキリしません。。

新型コロナウイルス感染症診療の手引き第2.2版を読んで思ったこと

この「デキサメタゾン」に関して重要なところは、あくまで対象は重症患者に限定されるというところかと思います。


英国でのRECOVERY 試験で確認できたことは、重症例にデキサメタゾン6mgを10日間投与すると、治療開始後28日目時点での死亡率が優位に低下する(標準治療に比べて)ということです。


もう少し掘り下げると、


人工呼吸器装着患者の致死率はデキサメタゾン群で29.0%に対して標準治療群は40.7%


酸素投与のみの患者の致死率はデキサメタゾン群21.5%に対して標準治療群は25.0%


となっており、デキサメタゾンによる致死率低下が確認できます。


しかし、


酸素投与を必要としない患者の致死率はデキサメタゾン群17.0%に対して標準治療群は13.2%


と酸素投与を必要としない症例については効果は確認されませんでした。


つまりレムデシビル同様、「デキサメタゾン」も重症例に使用するというスタンスになることが伺えます。

ステロイドは諸刃の剣

新型コロナウイルス感染症の新規治療薬「デキサメタゾン」
 

デキサメタゾンというのはいわゆる「ステロイド」です。


このステロイドとしての抗炎症作用が新型コロナウイルス感染症(重症例)に対して効果を発揮しているかと思われますが、私たちは忘れてはいけません。


ステロイドは諸刃の剣であるということを。


実際に診療の手引きにも下記のように記載されています。

MERS-Co-Vやインフルエンザにおいては、ステロイド投与によりウイルスの排除が遅延し、致死率も高かったとの報告がある。
引用元:新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き第2.2版


つまり、抗炎症作用を発揮する反面、感染症を悪化させる可能性も捨てきれません。


デキサメタゾンはレムデシビル等に比べると圧倒的に安価に入手することが可能であり、(他の疾患などに対して)使い慣れている病院も多数あるかと思います。


そいうった背景もあり今後処方量が増加してくるかもしれませんが、対象患者は慎重に選ぶ必要がありそうです。


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