とうとう時代が変わろうとしています。
→大袈裟かな??
保存期腎不全の方や血液透析を含めた末期腎不全の方が通院されている病院では必ずと言ってもいいほど使用されるエリスロポエチン製剤。
その中でもおそらくそれなりのシェアを担っているであろう「ネスプ注射液」。
こちらのAG(オースドライズドジェネリック)の発売日が2019年8月5日に決定し、私が勤務している病院でも発売し次第変更の予定となっています。
この変更に関しての自分なりに考えていることと注意点(適応が一部未取得です)をあげてみたいと思います。
※AGについて詳しく知りたい方はこちらのページで大変分かりやすく説明されているのでご参照ください
読めばわかる!オーソライズド・ジェネリック(AG|エージー)|第一三共エスファ株式会社
- ダルベポエチンアルファへ変更することでのメリット
- ダルベポエチンアルファへ変更することでのデメリット
- ダルベポエチンアルファへの変更で注意すること
- ダルベポエチンアルファへ変更後の動向予測
- ダルベポエチンアルファへ変更後に起きるであろう事
ダルベポエチンアルファへ変更することでのメリット
先発薬からAGへの変更の一番のメリットはやはり薬価ではないでしょうか。さらにAGとなれば中身は先発品と全く変わりません(添加物等も)。
ネスプ:6015円/本
ダルベポエチンアルファ:3801円/本
ま~AGなので俗にいうジェネリック医薬品よりはお値段からすると渋めかもしれません。
しかし患者さんの自己負担が減るし、DPC病院からするとありがたい話であることには変わりありません。
ダルベポエチンアルファへ変更することでのデメリット
唯一デメリットをあげるとすると、電子カルテのマスタ設定かな??
患者さん側のデメリットは見当たりません(あくまで主観ですが…)。
電子カルテのマスタを整備しなければなりませんが、こちらは今回のダルベポエチンアルファに限った話ではなく、他の薬が変更になった時も全く同じなのでデメリットとしてあげるのは不適切かもしれません。
ダルベポエチンアルファへの変更で注意すること
こちらは担当MRさんから必ず確認されるかと思いますが、先発品のネスプにはあるのに、ダルベポエチンアルファにはない適応があります。
それは、
「骨髄異形成症候群(通称MDS)に伴う貧血」
です。
もちろん腎性貧血に関しては保存期から末期腎不全(血液透析、腹膜透析)までの適応は全く一緒です。もちろん用法用量についても同じです。
しかし、MDSに関してはダルベポエチンアルファに適応がないため、使用できません(使用したら適応外になる)。
MDSの用法用量は
「週1回240μgを皮下注射」
がベースとなっていますが、貧血の程度や年齢等により適宜減量可となっています。減量がなければ120μg製剤だけネスプにして、他を全てダルベポエチンアルファに変更するというのも手段のひとつかもしれませんが、なかなか難しそうです。
ダルベポエチンアルファへ変更後の動向予測
ネスプを使用している患者さんが全てダルベポエチンアルファに切り替わるかと言うと、そうでもないかもしれません。
実はネスプもダルベポエチンアルファも「エリスロポエチン製剤」という分類の薬になりますが、このグループの薬剤は他にもあります。
・エスポ―
・エポジン
・ミルセラ
※先発品のみ表記
正直、ネスプを使用していた患者さんがエスポ―やエポジンに変更というのはないかと思います。
ネスプの投与間隔は患者さんの背景によって変わってきますが、通常1週間から4週間に1回投与となっています。
しかしエスポ―やエポジンに関しては週3回から長くても2週間に1回の投与が必要です。元々投与間隔が長い患者さんに対して、投与間隔が短くなる薬剤を選択することはないかと思います(病態的にその方が良いと判断されれば別ですが)。
それに対してミルセラに関しては2週間から4週間に1回投与(維持量は4週に1回と指定されています)が一般的です。
数字で並べるとネスプとあまり変わりないように見えます。
しかしネスプはコントロール良好であれば2週間に1回投与を4週間に1回投与へ変更することが出来ますとされているが、ミルセラは通常4週間に1回投与となっており一般的にはミルセラの方が投与間隔が長くなります。
「ネスプがAGに変更になるのか。。いい機会だからミルセラに変更してみるか」
このように考える医師がいても不思議ではありません。
(特に外来通院されている保存期腎不全の患者さんにはこちらを選択するかもしれません)
果たしてどうなるのか。
素直にネスプ→ダルベポエチンアルファとなるのか、はたまたネスプ→ミルセラがあり得るのか。この点については実際に発売になった後にまとめてみたいと思います。
ダルベポエチンアルファへ変更後に起きるであろう事
ジェネリック医薬品への変更の際の「あるある」ですが、必ずと言っていいほど浴びせられる言葉があります。
「名前長くて覚えられない!!」
「せっかく先発品の名前を覚えたところなのに、また覚えなおさなくちゃいけないじゃん!!」
是非薬剤部ではなく、国に言って下さい。
薬剤部ではどうしようもありません(笑)
後発品に関しては原則医薬品の成分名をつけなくてはならなくなってしまい、各メーカーさんも致し方なくその名前を付けているという背景があります。その点、先発医薬品は販売メーカーが名称を付けることができるので、覚えやすい名称が多いことは事実です。
しかし、薬剤部に言っても名前が短くなるわけではありませんので、ご留意下さい。
他にも薬関係についても書いていますので、お時間ある方はどうぞ!
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