またまた医療事故という単語を目にしてしまいました。
「不要な腹部CT検査で男性死亡」
とのこと。
「不要な」というところが気になるところですが、私が個人的に思うことを述べたいと思います。
獨協医大病院での医療事故の状況
Yahoo!ニュースに記載されていた記事を元に状況をまとめてみます。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200208-03275834-soon-l09headlines.yahoo.co.jp
肝臓がんの手術をした男性。
術後に胆汁が漏れてるかもしれない、との疑いから造影剤を使用してのCT検査を行う方針へ。
しかし、同検査を予定していた患者が他にいたため方針を変更。他の治療が成功したためCT検査が不要になり、医師から看護師にCT検査中止の指示が出たがうまくその指示が伝わらず。
CT検査前に造影剤を投与したところ男性の容態が急変し呼吸停止へ。その後急場はしのいだが、(おそらく)約1か月後に残念な結果となってしまった。
記事から読み取れるのはこういった内容です。
獨協医大病院での医療事故で私が思うこと
ここからは私の個人的な意見を並べていきたいと思います。
不要な検査
以前、当ブログでも取り上げた京大病院の医療事故ですが、こちらも元々は不要なことを行ったがために起こってしまっていました。
京大病院の医療事故(メイロン®誤投与)で思うところ… - 薬剤師とザリガニの奮闘記
そして今回も不要なCT検査…。
どうして不要な検査を行ってしまうのか、、
不思議でなりませんが、少なくても今回はシステムのエラーも要因の一つになってそうです。
おそらくCT検査の中止は口頭指示であったことが予想されます(医師から看護師に「中止する」と言っただけ)。
ここは電子カルテの弱いところかと思います。
本来は電子カルテにも中止の旨を記載しなければなりませんが、他の治療が重なったり、診察が重なったりするとカルテへの記載が後回しにされることがあります。
(口頭)指示を直接受けたスタッフは指示変更を把握しているが、その他のスタッフには伝達されなかった。
もしスムーズにスタッフ間で情報が伝達されていれば今回の医療事故を防げたのかもしれません…。。
造影剤のチェック体制は??
医療従事者の方がこの記事を読んだときに疑問に思うこと、、
「造影剤のアレルギーチェック甘過ぎない?」
このように感じた方も多いのではないでしょうか??
あくまで記事を読んだだけで、内部のシステムや状況は分かりかねますが、このような印象を持たざるを得ません。
ましてや、手術前に造影剤アレルギーの症状が出ていたのにも関わらず再投与してしまった経緯を考えてみても、これは病院レベルの問題かと思います。
記事の中では「医師が…」「担当医が…」と書かれていますが、他の職種は??
薬剤師は?
看護師は?
検査技師は?
何重にもチェックを繰り返し、患者からしたらうっとうしいと思うぐらいチェックをして初めて検査が施行される…これが理想だが、これらのチェックはしっかり行われてたのか?
純粋に気になりますね。
再発防止策として、CT検査などに関する承諾書に医師がアレルギー反応を確認する項目を設けた
と書かれていますが、今さら??と思ってしまいます。全体的に医療安全に関しての意識が低いのかな?というのが素直な感想です。
獨協医大病院での医療事故を教訓にする
もちろん起きてはいけない医療事故ですが、事故を完全にゼロにすることは出来ません。
しかし、限りなくゼロに近づけるための努力は誰でも出来ると思います。
いや、私達医療従事者は努力しなければなりません。
今一度、自院のシステムを見直してみてはいかがでしょうか??