薬剤師とザリガニの奮闘記

~薬ザリ(yakuzari)の備忘録~

現役病院薬剤師がドラマ「アンサングシンデレラ第1話」を見た率直な感想

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2020年7月16日。

医療業界(と言うか薬剤師業界)が大注目しているドラマ「アンサングシンデレラ」がとうとう放送開始となりました。

私はオンタイムで視聴することが出来なかったので、今から録画したものを視聴しようと思います。

視聴しながら感想や率直に感じたことを書いてみます。

そのため、ドラマ自体の感想は記事の最後になるかと思いますのが悪しからず。

アナフィラキシーショックでも「アンサングシンデレラ」は裏で大活躍

「アナフィラキシーショック」で運ばれてきた患者さん。


アドレナリンと言われる注射をいくら投与しても状態が良くならず(一般的には状態は好転する)、一時心肺停止へ。


そこで病院薬剤師である葵みどり(石原さとみ)も心臓マッサージの交代要員として参戦。


その最中、患者さんのポケット等を探り「ビソプロロール錠(ベータブロッカーの一種)」を常用している患者さんである可能性を発見。


すぐにそのことを医師に報告し、すぐさまビソプロロールを内服していたとしても効果が出る「グルカゴン」と言われる薬剤の使用を提案→提案は受け入れられ早急に投与。


その後患者さんの脈が戻り、結果として患者さんの命は救われます。


この一連の流れを見ていた新人薬剤師である相原くるみ(西野七瀬)の一言


「薬剤師も患者さんの命を救うことがあるんですね」


に対して薬剤部副部長である瀬野章吾(田中圭)が


「違う、救ったのは医者」


というやり取りがあります。


さらにその後、


「相原さんは感謝されたいの?」


という葵の質問に


「そりゃそうですよ」


と答える相原くるみに対して葵は


「それなら薬剤師は向いてないかも」


と言います。

アナフィラキシーショックの場面で思った事

この部分の話で私がまず思った事は


葵のレベル高ッ!!


という事。


落ち着いた時に考えれば多くの薬剤師がビソプロロール内服下でアドレナリン→効果薄い(あるいは効果なし)というのは分かります。


つまり、テストで出れば比較的簡単な部類の問題かと思われます。


しかし葵の状況を振り返ってみると、目の前の患者さんが生死をさまよっていて医師も看護師も「やばい…」という言葉が脳裏に浮かんでいる中、患者の体を探ってビソプロロールを発見し即座にグルカゴンを提案。


ここまで冷静に対応できる臨床型の薬剤師は一体どれだけ日本に存在するのだろうか…。


少なくても自分では出来ないし(あの場で患者の体を探って常用薬のヒントを得ようとする行動に移れる自信がない、というか思いつかない)、今まで一緒に働いてきた薬剤師の中にはいないだろうな~というのが率直な感想。


あとは、


葵と瀬野と相原の3人のやり取り。


繰り返しになりますが、


「薬剤師も患者さんの命を救うことがあるんですね」


「違う、救ったのは医者」


「相原さんは感謝されたいの?」


「そりゃそうですよ」


「それなら薬剤師は向いてないかも」


これらのセリフが、薬剤師がアンサング(unsung)と言われる理由の全てだと感じました。


言い方は悪いですが、表立って大きな手柄を立てたいのであればやっぱり病院薬剤師は向かないだろうな~と改めて考えさせられる場面でした。

アンサングシンデレラの調剤室は戦争状態

葵と相原くるみはアナフィラキシーショックの件が落ち着いた後、調剤室に行きます。


そこはまさに戦場!!


次から次へと流れてくる処方箋に対応しているスタッフ達。


今の今まで救急で働いていた葵もその戦場に参戦。


そんな中、医薬品の戻し間違えがあったり(アロプリノールとアロチノロール)、疑義照会が必要な処方が出てきたり(ランソプラゾールOD15 1回1錠 1日3回毎食後)、すごく忠実に調剤室の様子が描かれています。

戦争状態の調剤室を見て思った事

忠実には描かれているのですが、私の職場と比べると少し戦場感が強すぎかな?という思いもあります。


世の中院外処方箋がメインとなっているため、葵が勤務している萬津総合病院と違って外来の患者さんの処方は院外の調剤薬局で行われることが多いです。


そのため、病院の薬剤部は調剤室の人数を極力減らし、なるべく病棟などに人員を割くような体制にしていることが多いと思われます。


そのためあの人数で戦争になるというよりかは、実際には調剤室担当の1人、2人の少人数で戦争に参戦している方が現実に近いのかもしれません。

アンサングシンデレラはHELLP症候群にもしっかり対応

妊娠後期の患者さんに処方されているロキソプロフェン錠に疑問を抱いた葵は疑義照会。


妊娠後期でも問題なく内服できるカロナールへ処方変更となります。


しかし看護師や研修医に状況を確認すると、HELLP症候群ではないかと疑いマグセント注(切迫早産における子宮収縮の抑制、重症妊娠高血圧症候群における子癇の発症抑制及び治療する薬)を提案しなんとか投与。


その後の詳細描写はないが、結果帝王切開が行われ、母子ともに健康。


葵の活躍により事なき終えました。

HELLP症候群への対応の場面を見て思った事

勝手にHELLP症候群を疑って患者を診察している葵を見て、その患者さんの主治医はこのように言います。


「診察をして良いのは医師だけだ」


そうなんです。


法律上そのように決まっているので、そこは間違いありません。


しかし薬剤師というのは薬のことを勉強しながら、病気のことも当然勉強します。


そのため患者さんと接しているうちに、


「あれ?この患者さん〇〇じゃないかな?」


と思うこともしばしばあります。


気付いたからには主治医に相談するわけですが、今回のHELLP症候群は悠長に待ってられないため、鬼気迫る勢いで主治医に詰め寄った葵。


対応は間違っていないと思いますし、結果患者さんは助かったのですが、病院内でこの葵の行動が問題視されてしまうことになります。

医療安全委員会の件

葵の活躍により、母子ともに助かったというような内容ですが、この葵の一連の行動が医療安全的に問題という事で委員会が開かれます。


おそらく、医療従事者の方であれば多くの方がこのように感じたと思います。


「なんだこの委員会は????」


と。


医療安全委員会というのは、院内で発生してしまったミスや事故(専門用語を使うとインシデントやアクシデント)を振り返ることで、今後同じような事案が発生しないように工夫していきましょう!という考えのもと行われており、決して1人の責任を追及する場ではありません。


ましてや個人名なんていうのは絶対に出ません。


なのに、なぜか産婦人科医の鈴木医師は葵を名指しして、挙句の果てには1ヶ月の出勤停止を提案します。


…ありえない。


なんの権限があってこいつは発言しているんだ、、と。


なんとなくこの場面で制作側が言いたいことは分かるような気もしますが、少し違った描写をしても良かったのではないか?と病院関係者の1人として感じた次第です。

ドラマ「アンサングシンデレラ第1話」を見た病院薬剤師の率直な感想

ドラマ「アンサングシンデレラ」第1話
 

ドラマ全体を振り返ってみての感想ですが、個人的には再現度が半端なく高いと感じました。


薬剤師を面倒と思っている医師(ドラマでは産婦人科医の鈴木医師)だったり、薬剤師内の面倒な感じ(葵に処分が下らなかったことに関して表ではそっけないけど、裏ではガッツポーズしたりハイタッチしたり…)だったり、要所要所ですごい納得しながら視聴させてもらいました。


ただ、何点か触れたい点があります。

ドラマ「アンサングシンデレラ第1話」に対して言いたいこと1

まずは、、


アロプリノールとアロチノロールの棚は隣にしないよね(笑)
→ドラマで分かりやすく紹介するための演出ではあると思いますが…


調剤棚(医薬品を並べている棚)には何種類もの医薬品が所狭しと並んでいます。


そのため名前が近いものやデザインが似ているものは離して並べるのが一般的です。


薬品名順・薬効順など、その病院や調剤薬局の様々なルールで並べられる薬剤ですが、さすがにこの2剤は離すかな、、というか離していない薬局は少し配置を考え直した方が良いのでは?と言いたくなるレベルです。

ドラマ「アンサングシンデレラ第1話」に対して言いたいこと2

原作を一通り読んでいるものからすると、


第1話に詰め込みすぎじゃない?


というぐらいボリューミーな第1話でした。


これが連ドラではなく2時間の特別ドラマであれば分かるのですが、今後も同様のペースでドラマが進んでいくと考えると話しのネタがもつのかな?と無駄な心配をしたくなるぐらいボリューミーだったと感じています。


一病院薬剤師として、様々な薬剤が出てきて様々な疾患が出てくるのは良いのですが、一般の方が見るとなるとどうなのかな?と心配となります。


私は職業柄ある程度基礎知識や背景を把握している中で視聴するので良いのですが、全く病院薬剤師という職業を認知していない方が見るとどのように感じるのかな~と疑問です。

ドラマ「アンサングシンデレラ第1話」に対して言いたいこと3

第1話の冒頭、葵はアナフィラキシーショックの患者さんに心臓マッサージをしますが、この心臓マッサージが物議を呼んでいるようです。


「薬剤師が心臓マッサージするの?」


このように思う人が多いみたいです。


この疑問に対しての答えは、


「一部の病院の薬剤師は行っている」


となります。


私が勤務している病院では、正直言うと薬剤師が心臓マッサージすることはほぼありません。


※状況にもよるかもしれませんが、率先して薬剤師が心臓マッサージを行うことはありません


しかし、救急にしっかりと薬剤師が介入している病院では日常的にあるようです。


私の知り合いの中でも心臓マッサージを行う薬剤師は実在しますので、少なくても現実離れした演出ではありません。


ただし極少数派の描写ではあるのかもしれません。

ドラマ「アンサングシンデレラ第1話」に対して言いたいこと4

言いたいこと2つ目は相原くるみの靴に関してです。


最初は病院薬剤師という仕事にあまりやる気を見いだせていない相原くるみは、あろうことかブーツで仕事をします。


しかし葵の活躍などを目にして、病院薬剤師としてやる気を出したところで第1話が終わるのですが、その時点ではブーツからスニーカーへ靴が変化しています。

相原めぐみ(西野七瀬)のブーツ相原めぐみ(西野七瀬)のスニーカー
やる気なし→やる気あり

相原くるみのやる気の変化を靴で表していると考えられますが…


ブーツはないわ!!


ブーツそのものにまず違和感を覚えますが、新人がブーツを履いていて周りが注意しないのもあり得ない!!!


今どき実習生でもそんな子いませんよ。。


そう考えると相原めぐみは一体どれだけ世間知らずなんだ…と思ってしまいます。

ドラマ「アンサングシンデレラ第1話」に対して言いたいこと5

エンディングが素晴らしい!


当記事では触れていませんが、第1話で出てきた1型糖尿病の女子学生2人。


様々な葛藤を抱きながら闘病している様子が描かれていますが、その2人の闘病しながら成長していく様がエンディングで描かれています。


ここは涙なしでは見られません。

なんだかんだでドラマ「アンサングシンデレラ第2話」も楽しみです

いろいろと書きましたが、なんだかんだで次回第2話も凄く楽しみです。


次は原作のどの部分の話が出てくるのかな~と考えるだけですぐに次の木曜日になってしまいそうです。


それまでにもう1回原作を振り返っておこうかな(笑)

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2020/7/27追記:ようやく第2話のレビュー記事を書きました。よろしければこちらもどうぞ!

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病院薬剤師の白衣のポケットの中身を大公開??↓
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