薬剤師とザリガニの奮闘記

~薬ザリ(yakuzari)の備忘録~

【8/26薬価収載】エンレスト錠についての勉強録

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先日薬剤部内でANRI(アンジオテンシン受容体ネプリライシン阻害薬)である「エンレスト錠」の勉強会がありました。


気になったことなどを備忘録として残しておこうと思います。

エンレスト錠の基本情報

まずは基本情報をまとめていきたいと思います。

成分名

サクビトリルバルサルタンナトリウム水和物

薬価

50mg:65.70円/錠
100mg:115.2円/錠
200mg:201.9円/錠

※「コララン®」を比較薬とする類似薬効比較方式Ⅰで算定されている

※8月26日に薬価収載されました

効能効果

慢性心不全
ただし、慢性心不全の標準的な治療を受けている患者に限る。

用法用量

通常、成人にはサクビトリルバルサルタンとして1回50mgを開始用量として1日2回経口投与する。

忍容性が認められる場合は、2~4週間の間隔で段階的に1回200㎎まで増量する。1回投与量は50mg、100mg、200mgとし、いずれの投与量においても1日2回経口投与する。なおお、忍容性に応じて適宜減量する。

禁忌

・本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者


・ACEIを投与中の患者、あるいは投与中止から36時間以内の患者


・血管浮腫の既往歴のある患者


・アリスキレンフマル酸塩を投与中の糖尿病患者


・重度の肝機能障害(Child-Pugh分類C)のある患者


・妊娠又は妊娠している可能性のある女性

相互作用

エンレスト相互作用1エンレスト相互作用2
 

※添付文書を一部引用

副作用

(一部抜粋)
血管浮腫、腎機能障害、低血圧、高カリウム血症、ショック、無顆粒球症など

特定の背景を有する患者に関する注意

・両側性腎動脈狭窄のある患者or片腎で腎動脈狭窄のある患者
→後述しますが、バルサルタンがARBとして体内で働くので既存のARBと同様の注意点です。


・腎機能障害患者(30≦eGFR(mL/min/1.73m2)<90)
→カリウムと腎機能の推移に注意が必要


・腎機能障害患者(30<eGFR)
→臨床試験で除外されているが、患者の状態を十分に観察しながら投与することは可能


エンレスト錠の第一印象

予習もせずに今回の勉強会に挑んだこともあり、話しを聞きながら基本的な疑問がまず頭に浮かびました。


「忍容性を確認しながら段階的に増量(100mg/日→200㎎/日→400mg/日)していくこととなっているけど、何の忍容性を確認すれば良いの?」


こういった疑問が説明会冒頭で浮かんだわけですが、後半にしっかりと説明してくれました。


簡単にまとめると下記内容について注意する必要があるとのこと。

・低血圧

 
・腎機能障害

 
・高カリウム血症

 
・血管浮腫

 
・脱水


これらに注意しなければならない理由は、サクビトリルバルサルタンが体内でサクビトリルとバルサルタンに分かれて効能を発揮するということを考えれば比較的覚えやすい内容です。

サクビトリルについて

まずは含有量(分解後の換算値なので、正確には含有量ではありませんが…)についてですが、エンレスト錠100㎎あたりサクビトリルは48.6mgに相当します。


このサクビトリルはネプリライシンを阻害することでナトリウム利尿ペプチドの作用を亢進させ、血管抵抗・心室肥大の低下やナトリウム利尿・利尿を促し心不全の進行を抑制する方向に働いてくれます。


語弊もあるかもしれませんが、既に注射薬として販売されているハンプに近いイメージかと思います。

バルサルタンについて

薬剤師の方であれば知らない人はいないのでは?と思えるほど有名な薬剤の一つであるディオバン®錠の成分になります。


エンレスト錠を投与すると、体内でバルサルタンに分解されて体内でRAA系を抑制し効果を発揮します。


しかし、しかしですよ。


エンレスト錠100㎎を投与すると、バルサルタン量としては51.4mgに相当します。


忍容性を見ながら増量するとはなっていますが、エンレスト錠の理想は1日400mgとなっています。


つまり、バルサルタンとしての量は51.4mg×4=205.6mg≒200mgとなります。


ここで疑問が頭に浮かぶ人はARBに関してしっかりと勉強している証拠かもしれません。


ディオバンの国内承認用量を思い返してみると、最大投与量は160mg/日と設定されています。


エンレスト錠の目標用量(400mg/日)だと、なんとその160mgを優に超えてしまうのです。


このことを考えると、例えサクビトリルのことを考慮しなくても、


「そりゃ低血圧に気を付けなければならないよね、SCrが上昇するよね、高カリウムに気を付けなければならないよね」


と自然に考えられるかと思います。


そんなARBに利尿作用(サクビトリル)が加われば脱水にも気を付けなければならないよね、ともつながります。


このように考えると忍容性に関しての注意点はある程度考えやすいのかなと解釈しています。

エンレスト錠について今後追記予定の内容

エンレスト錠についてサッとまとめてみましたが、少し時間が足りなくて中途半端な点も多々あります。今後準備できたら下記内容に関して追記していこうと思っています。


・PARAFIGM-HF試験について
・NT-proBNPについて


HErEF患者を対象としたPARADIGM-HF試験。現行の標準治療(エナラプリル)と比較して大きくエンドポイント(心血管死、心不全による入院)を改善させたとのこと。少しかみ砕いてみたいと思います。


それとNT-ProBNPについてですが、これは今後勉強しなくては…。


エンレスト内服下だと、聞きなれているBNPでは正確に心不全の評価が出来なくなるとのこと。早々に調べてみたいと思います。


※あくまで今回は概要のみをまとめた形となるので、詳しい内容は必ず添付文書等をご参照下さい。血圧やeGFRに関して具体的な数字も示されていますので必ずチェックして下さい。


8月26日はダーブロックについても薬価収載、発売開始になっているので要チェックです↓↓
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