薬剤師とザリガニの奮闘記

~薬ザリ(yakuzari)の備忘録~

モビコール®配合内用剤LDについての備忘録

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モビコール

「モビコール®配合内用剤LD」について、自分の備忘録を兼ねて書きたいと思います。

※一部薬剤師向けの内容となっています。ご了承ください。
※2020年11月にモビコール配合内用剤→モビコール配合内用剤LDに変更になったため、タイトル等も変更しています

概要

商品名:モビコール®配合内用剤LD

成分(1包あたり):

マグロゴール400 6.5625g
塩化ナトリウム   0.1754g
炭酸水素ナトリウム 0.0893g
塩化カリウム    0.0251g

適応:器質的疾患による便秘を除く慢性便秘症

用法用量:下記の用量を水に溶いて内服

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↑簡易的にまとめてみました

…当院では小児科がないため、おそらく12歳以上のところを覚えるだけで済むのですが、全ての年代を扱う病院、調剤薬局では少し混乱してしまいそうですね。。

薬価:83.9円/包

主な副作用:下痢(3.6%)、腹痛(3.6%)など

薬ザリ的ポイント

特徴

・国際誕生は1995年→海外でのエビデンスが豊富

・大腸カメラなどの前に飲む大腸洗浄剤を小さくしたようなもの

・カリウム等が配合されているが、基本体内に吸収されない

・飲んですぐに効果が出るタイプの下剤ではない。内服開始後、約2日後(中央値)に反応してくるとのデータあり。
→内服し始めて1日や2日で効果判定をするような薬ではない

モビコール配合内用剤の第一印象

日本国内では2018年11月に薬価収載・販売開始となった比較的新しい下剤。当院では今月(2019年2月)ようやく採用となりました。最近出てくる下剤は比較的薬価が高くついていますが、モビコール®もそれなりの価格が設定されています。下剤の薬価が高くなった元は、おそらくアミティーザ®という下剤。

それなりの薬価がついているアミティーザ®とグーフィス®という下剤が以前対象薬として比較、そのグーフィス®と今回のモビコール®が比較されて薬価収載となった流れのため、モビコール®に罪はなさそう(笑)。もし酸化マグネシウムとモビコール®が比較されていたら、モビコール®の薬価が↓↓となってしまい、メーカーが可哀そうなことになっていたかもしれないな~なんて思いながら勉強会での説明を聞いていました。

もしかして透析患者さんに朗報??

肝心な薬としての有用性ですが、第一印象としてはだいぶ良い下剤ではないかなと感じました。

酸化マグネシウム同様「水の運び屋」として水分を大腸まで届けて排便を促すという作用のようですが、酸化マグネシウム剤との大きな違いは電解質に影響を与えないところでしょうか。

一般的に、血液透析を行っている患者さんは高マグネシウム血症に気を付けなければなりません。

普通に生活しているだけであれば高マグネシウム血症になることはまれですが、知らずに酸化マグネシウムの内服を継続しているとマグネシウムが体内に蓄積し、早期であれば「筋力低下と深部腱反射の低下、悪心・嘔吐などの消化器症状」、重症であれば「傾眠傾向、四肢および呼吸筋の麻痺、麻痺性イレウス」のような症状を起こしかねません。

しかし、今回のモビコール®は同じ「水の運び屋」ですが、マグネシウムが入っていないということもあり、血液透析患者さんにも安心して使ってもらえそうです。

そして、透析患者さんには更なる朗報になるかもしれない情報がありました。

「この薬は1包あたり60mLの水に溶解してから内服して下さい」

…だから?

ではなく、情報には続きがありまして、

この時薬と一緒に摂取した水(60mL)は体に吸収されずにそのまま排泄されます

吸収されずにそのまま排泄というのがポイントです!

血液透析についてあまり詳しくない方はどこが朗報なのか分からないと思いますが、透析患者さんの中には心不全等を起こさないようにするため、医師から水分を制限されている方が多数いらっしゃいます。

「水分は1日1Lまで」
「水分は1日500mLまで」

などと具体的に指定されている方もいらっしゃいます。

しかも、この指定量の中には薬を内服するときに使う水も含まれます。血液透析を行っている方はどうしても合併症等の兼ね合いで、1日に何錠もの薬を飲まなければならないこともあります(1日に30錠以上薬を飲まなければならない方もいらっしゃいます)。

そのため、本当にただの水分補給のために飲める水の量がだいぶ限られてしまっているのが事実です。

ですが、もし、この薬を飲むときに使用する水に今回のモビコール®を混ぜたらどうでしょうか??

モビコール®を混ぜない状況であれば、その水は薬と一緒に体に吸収されて体重が増える原因となりますが、モビコール®を混ぜておけば、体に吸収されない→体重増加につながらないという理屈です。

この理屈に従えば、おそらくモビコール®入りの水は、水分制限の水にカウントせずに、純粋に500mL等の指示量を自由に飲める水分にあてることが出来るのではないでしょうか?

モビコール®まとめ

正直「透析患者さんに朗報?」に書いた内容は、完全に僕の思い付き以外の何ものでもありません。が、どうにかしてデータを出して

「モビコール®入りの水分は水分制限の水量とは別で考えても良い」

とすることができれば、数多くの透析患者さんの苦痛の一部が取り除けるのではないかなと考えました。

一薬剤師がどこまで貢献できるか分かりませんが、少し頑張ってみたいと思います。

モビコール®の備忘録のつもりが、最後は僕が考えていることを羅列しただけになってしまいました…。

今後追加情報をGetした際には随時記事を更新していきたいと思います。

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