日本中で進んでいる新型コロナワクチンの接種。
私が住んでいる地域でも65歳以上の方を対象とした集団接種が始まっています。
そんな中、あるご縁があり集団接種会場へ薬剤師としてお手伝いに行く機会があり、ワクチンの分注作業を行ってきました。
今後同様のお手伝いに行かれる方も多いかと思いますので、当日の様子などを身バレしない程度にまとめてみたいと思います。
- 薬剤師による新型コロナワクチン(モデルナ製)の分注作業
- 【分注作業】新型コロナワクチン集団接種当日の様子
- 【モデルナ製】新型コロナワクチンの分注作業に関する情報
- 【モデルナ製】新型コロナワクチンの分注作業を終えて
薬剤師による新型コロナワクチン(モデルナ製)の分注作業
今回のお手伝い内容は「ワクチンの分注作業」です。
薬剤師が問診の手伝いをするなどという話もあるようですが、私が住んでいる地域の病院薬剤師会ではひたすら分注作業を行うという内容でした。
手伝いに行く会場では1日あたり2000人程度の接種が見込まれており、分注作業員として集められるのは1日4~5人程度。
単純計算で1人あたり400~500本の分注作業を行います。
病院薬剤師会からの派遣依頼状には
「手技に不安のある方はご遠慮下さい」
という注意書きもありました。
拘束時間が8時間半(予定)で、そのうち1時間は昼休みの予定との記載もあり、実際に分注作業にあたる時間は7時間半(450分)。
つまり、1分に1本あたりの効率が望まれます。
当たり前ですが、分注作業が遅れるとそれだけ接種者を待たせることになります。
一つの会場に2000人以上も集まるわけなので、少しでも混乱なくスムーズな接種を行うためにはスムーズな分注作業が必須となります。
依頼状を見て少しビビりながらも、なんとかなるだろうと思い今回参加させていただきました。
使用した新型コロナワクチンは「モデルナ製」
ちなみに、今回の会場で使用されるワクチンは「モデルナ製」となります。
私が勤務する病院では先行接種対象医療機関ということで2~3月にかけてコミナティ(ファイザー製)を使用しました。
その際にも少し分注作業を行いましたが、圧倒的に「モデルナ製」の方が楽ですね。
コミナティは生食(生理食塩液のこと)で溶かしてからシリンジに分注する必要がありますが、モデルナ製は溶解作業不要です。
ただただ、バイアルの中の液体を0.5mL吸うだけで分注終了です。
生食だけを投与してしまった、、原液のまま投与してしまった、、などというニュースを見ますが、おそらくそれらはコミナティかと思われます。
モデルナではそもそも生食を使用しませんし、元々原液を投与するものですからね。
医療ミスが起きにくいという点からも「モデルナ製」に軍配が上がります(※)。
※他のこと(副反応や有効性など)を一切考慮していない個人的な意見となります。
【分注作業】新型コロナワクチン集団接種当日の様子
それではお手伝い当日の様子をお伝えします。
8時集合ということで時間通りに会場入り。
自己紹介などの時間もあるのかな~?と思っていましたが、そんなものは一切ありません。
●●病院の●●さん、とだけ確認され、早速分注作業についての説明です。
説明と言っても分注の仕方を説明するのではなく、
「シリンジはここから持って行って下さい」
「消毒はこのアルコール綿を使用してください」
「出来上がったシリンジはここに置いておいてください」
など、どちらかというと会場内でのルール説明でした。
そんな説明も2.3分で終わり、
「今日は計2300人程度の予約がありますのでよろしくお願いします」
という声がけ後に、早速分注作業開始です。
私に与えられた分注作業スペースです。
※作業開始前に写真を撮るのを忘れてしまったので、分注作業後の写真となってしまいました。
画面左のバットに入った空のシリンジを使用して、画面右にある赤色のキャップが付いているバイアルからワクチンを分注していきます。
繰り返しになりますが、今回使用したワクチンは「モデルナ製」です。
箱にも「COVID-19 Vaccine Moderna」と記載されています。
1バイアルあたり5mLのワクチンが入っており、そこから0.5mLずつシリンジに分注していきます。
つまり、1バイアルあたり10人分。
先ほどの計算から行くと、1バイアルあたり10分以内に終わらせたいところです。
ということで張り切って分注作業を始めたところ、あっという間に昼休みの時間に(笑)
午前中の戦果はというと…
占めて30バイアル(300人分)。
8時過ぎに作業を開始し、11時過ぎに昼休みの指示をもらったので、ちょうど3時間で300人分。
180分で300人分…1分あたり1.67人分(1人分あたり36秒)
これが私の分注効率でした。
当初の「1分あたり1人分」の目標は余裕で達成していたようです。
昼食は支給していただいたお弁当を頂きまして(写真撮るのを忘れた…)、早速午後の部開始。
しかし、午前中に300人分の分注作業が終わっており、私以外の参加者(私を含めて5人でした)も同等数の分注を終えていました。
そのため午後は200人分のバイアル(20バイアル)を渡され、
「200人分が終われば解散になるので頑張ってください」
という予想外の指示をもらい、張り切って分注作業を行ったところ、
14時前には作業終了。
当初の予定では16時半頃に解散見込みとされていましたが、予想外に早く終了。
その後、仕事終わりの諸手続きを終えて解散となったのは14時半。
8時に集合して14時半解散。
実質6時間半の拘束で、うち1時間は昼休み。
実際に分注作業を行ったのは5時間で、500人分のシリンジを準備したので、1日を通しても1分あたり1.67人分(1人分あたり36秒)の分注効率だったようです。
以上が分注作業を行った日の一連の流れとなります。
ちなみに分注のし過ぎで腕が痛くなるかな?と思っていましたが、当日も翌日以降も腕の不調は現れず。
なんなら普段の仕事よりも楽だった印象です。
【モデルナ製】新型コロナワクチンの分注作業に関する情報
それでは細かい点ですが、実際に分注作業を今後行うかもしれない方へということで、何点か情報を羅列してみたいと思います。
使用する針について
分注に使用した針は25Gでした。
分注に使用した針をそのまま投与に使用するということで、汚染には最新の注意が必要です。
バイアルのゴム栓について
同じバイアルに10回針を刺すわけですが、コアリングなどのトラブルは一切ありませんでした。
25Gの針だったからということもあると思いますが、インスリンのバイアルからシリンジに分注するのをイメージしてもらうと分かりやすいかもしれません。
バイアルの解凍について
モデルナ製のワクチンは-20度前後で保管されているため、分注作業前に解凍する必要があります。
しかし、今回は解凍等の作業は分注担当者とは別の方々が担当していたため、解凍については何も考えずに作業していました。
解凍も考えながら分注作業も行っていたら作業効率が落ちたかもしれませんが、その辺を一切考えずに分注作業に集中できた環境は良かったと思います。
【モデルナ製】新型コロナワクチンの分注作業を終えて
普段の業務でシリンジを触ることはほぼないため(月に1回触れるか触れないか…)少し不安もありつつ会場入りしましたが、最初の10人分ぐらい作ってたら慣れますね。
手技に不安があるから手伝いに行くのを躊躇っている…
という方がもしいれば、不要な心配かと思います。
なんせ、私が出来たぐらいですから(笑)
私自身は再度お手伝いに行く機会があるかは分かりませんが、もしあれば会場内でのスムーズな接種を心がけて分注作業を行いたいと思います。