日医工さん、やってくれました。
15品目もの一斉自主回収
新型コロナウイルス感染症関連で、そのうち薬剤の納品が難しくなるのかなと勝手に想像していましたが、ここでまさかの自主回収。。
この件について色々と述べたいと思います。
2020年4月8日:自主回収後の対応は?を追記しました
2020年4月10日:自主回収後の対応は?を一部追記しました
2020年11月の自主回収情報はこちら↓↓
www.yakuzari.work
日医工の自主回収対象薬品は15品目
まずは今回自主回収になった商品を羅列します。
ATP腸溶錠20mg「日医工」
→溶出試験が承認規格に適合しない
オルメサルタンOD城20mg「日医工」
→出荷試験の溶出性において、社内規格を下回る製品が出荷
グリメピリド錠1mg「日医工」
→溶出試験が承認規格に適合しない結果
セファクロルカプセル250mg「日医工」
→純度試験(類縁物質)が承認規格に適合しない結果
セフテラムピボキシル細粒小児用10%「日医工」
→純度試験(類縁物質)が承認規格に適合しない結果
テオフィリン徐放錠100mg「日医工」
→溶出試験の2時間経過時点の溶出性が承認規格に適合しない結果
テプレノンカプセル50mg「日医工」
→定量試験が承認規格に適合しない結果
テプレノン細粒10%「日医工」
→定量試験が承認規格に適合しない結果
ニコランジル錠5mg「日医工」
→定量試験または製剤均一性試験が承認規格に適合しない結果
プラバスタチン錠5mg「日医工」
→定量試験および純度試験(類縁物質)が承認規格に適合しない結果
プラバスタチン錠10mg「日医工」
→定量試験および純度試験(類縁物質)が承認規格に適合しない結果
ベタヒスチンメシル酸塩錠6mg「日医工」
→純度試験(類縁物質)または溶出試験が承認規格に適合しない結果
メキシレチン塩酸塩カプセル50mg「日医工」
→出荷時の定量試験において、実態と手順に齟齬(そご)が生じた
ランソプラゾールカプセル15mg「日医工」
→出荷時の定量試験および溶出性試験において、実態と手順に齟齬(そご)が生じた
ランソプラゾールカプセル30mg「日医工」
→出荷試験の溶出性において、実態と手順に齟齬(そご)が生じた
詳しくは日以降の公式ホームページをご覧ください対象ロットともエクセルにまとめて公表されております。
自主回収対象の15品目による健康被害は?
ここが一番大切ですね。
現在、これらの対象ロット薬剤を内服している患者さん方への健康被害は考えられるのか?
一応メーカーとしては「いずれも健康被害は考えにくい」としています。
実際の健康被害の報告もないようです。
私個人としても、おそらく大丈夫だろうなと考えています。
テオフィリンに関しては下記の記載があります。
溶出試験の2時間経過時点の溶出性が承認規格に適合しない結果が得られました。4時間経過時および10時間経過時の溶出性は承認規格内でした。
引用元:テオフィリン徐放錠100mg「日医工」自主回収に関するお知らせとお願い(クラスⅡ)
ただでさえ徐放錠であること、逸脱していたのが2時間値のみで4時間10時間は規格内であったこと、これらを考慮すればテオフィリンに関しても大きな問題ではないかと想像できます(あくまで筆者の想像です)。
自主回収後の対応は?
現時点(4月8日AM)ではメーカーからの直接の連絡はないため詳細は不明ですが、担当卸の方より下記の情報がありました。
自主回収なのですが、安全が担保された商品(ロット)をすぐに納品できる状況なのかは確認できていません。
とのこと。
今後の対応については今後情報が出てくると思うので、分かり次第こちらに追記したいと思います。
2020年4月10日追記↓
当院でのダメージは数品目で済みました。
大部分の薬は他規格を代用することで対応可能だったのですが、ニコランジルだけは不可能となる見込みでした。
いずれの薬剤も安全が保障されたロットをすぐに日医工が準備して交換してくれるというわけではないとのことなので、ニコランジルについては粛々と採用メーカーを変更させてもらいました。
出来れば日医工全ての採用を切ろうとも考えましたが、少しほとぼりが冷めてから改めて考えようと思います。
日医工の自主回収はなぜ起きた??
それにしても、こんなに一気に自主回収になった理由はなんなのでしょうか?
MRさんに直で確認したいところですが、コロナの影響で院内はMR出入り禁止。。
かと言って電話するするとただの苦情みたいになっちゃうし…
少し様子を見て、何か情報をキャッチしたらこのページにアップしたいと思います。
日医工の自主回収に対して私が思うこと
私が今まで気にしたことがないからなのかもしれませんが、同一メーカーで一気に15品目もの自主回収を発表するのは異例中の異例かと思われます。
現時点ではこのようになってしまった理由はわかりませんが、少なくてもメーカーの体制を疑わずにはいられません。
上に対象商品と自主回収の理由を羅列しましたが、その中でメキシレチン塩酸塩カプセルとランソプラゾールカプセルは
「出荷時の定量試験および溶出性試験において、実態と手順に齟齬(そご)が生じた」
となっています。
齟齬?
そんな難しい言葉使わずに、申請していた手順とは違う手順で試験してました、と正直に言えばいいじゃん!!
というのが率直な感想です。
なんとなく、セファゾリンの一件から信用しないようにしていたのですが、今回の件でさらに私の中での信用度がガタ落ちです。
日医工の自主回収を発表したタイミングが許せない
百歩譲って自主回収になってしまったのは仕方がないとしても、どうしても発表日が許せません。
なぜ敢えて4月7日なのか、、
なぜ敢えて緊急事態宣言が出された日なのか、、
自社のダメージを最小限にしようとした結果としか思えません。
おかげさまで、病院では大混乱必死です。
ただでさえコロナ関連で忙しくしており、ただでさえ緊急事態宣言で大変になり、そこにさらなる追い打ち「自主回収」と来たもんです。
4月7日でなければならなかった理由があるのであれば是非教えてほしいところです。
日医工の自主回収が公表されて
さてこれからどうなることでしょう。
私自身はジェネリックメーカーと先発メーカーを比べるようなことはしていないつもりですが、今回の一件で日医工の評価はもちろん、ジェネリックメーカー全体の評価が落ちてしまう可能性も否定できません。
未だにジェネリックを嫌がるドクターや患者さんもいるのも事実で、ここ数年でようやくその溝が埋まってきているように感じていましたが、少なくても医療従事者側からの評価は下がってしまうのではないかと思われます。
日医工の自主回収に対して出来ること
ここまでは愚痴が中心となってしまいました。
が、ここでいくら愚痴を言っても自主回収は行われるので、現場で働いている側の人間としては対応をしなければなりません。
このコロナの騒動により医薬品さえも買い占めが起きていると聞きますが、この件でその買い占めに加速がかからないか心配です。
ここで言っても仕方ないのかもしれませんが、薬剤師の皆さんは必要数だけの購入を考え、決して買い占めに走らないでほしいと思います。
届くべきところに、薬品が供給されることを願います。
その他、薬剤の出荷関係に関する記事はこちら↓
www.yakuzari.work
www.yakuzari.work