先日、病院の薬剤部内で「オラビ®錠口腔用50mg」の勉強会があったので、自分の思うところを書いてみたいと思います。
※一部薬剤師向けの内容となっています。ご了承ください。
オラビ錠の基本情報
まずは薬剤の基本情報を主に添付文書から抜粋していきたいと思います。
商品名
オラビ®錠口腔用50mg
成分名
ミコナゾール
効能効果
カンジダ属による口腔咽頭カンジダ症
用法用量
通常、成人には1回1錠を1日1回、上顎歯肉(犬歯窩)に付着して用いる
使用上の注意
口腔粘膜に付着して用いる錠剤であるため、そのまま飲み込んだり、なめたり、噛み砕いたりせずに使用すること
原則として投与期間は14日間とする
禁忌
本剤に過敏症の既往のある患者
併用禁忌薬内服中の患者(詳細は↓)
妊婦または妊娠している可能性のある婦人
併用禁忌薬
【ミコナゾールがCYP2C9を阻害】
ワーファリン
【ミコナゾールがCYP3A4を阻害】
ピモジド、キニジン、トリアゾラム、シンバスタチン、アゼルニジピン、ニソルジピン、プロナンセリン、エルゴタミン、リバーロキサバン、アスナプレビル、ロミタピド
→同一成分薬のフロリードゲルと全く一緒です
主な副作用
味覚異常
適用部位不快感
腹部不快感
悪心
などなど
オラビ錠の使い方
本剤の使用方法は少し特徴的なので、画像にて説明を載せます。
引用元:患者向医薬品ガイドより
オラビ錠が使用中に剥がれてしまったら
歯茎のくぼみに付着して使用するこの薬剤ですが、当然剥がれてしまったり飲み込んでしまうことも想定されます。
そういった状況になった時の対処法もしっかりと理解しておく(説明しておく)必要があります。
付着して6時間経過前に剥がれた場合
同一部位に剥がれた薬剤を再度付着させます。もし付着できないときは新しい薬を使うこととなっています。もし誤って飲み込んでしまった場合はコップ一杯の水を飲んで、一度だけ新しい薬を使用します。
付着して6時間経過後に剥がれた場合
この場合は何もしなくて良いとのこと。誤って飲み込んでしまった場合でも特に何もしなくて良く、どちらにせよ翌日に新しい薬を使用すれば問題ないようです。
オラビ錠の薬ザリ的第一印象
正直メリットを感じません。
既出のゲル剤(フロリードゲル)とファンギゾンシロップ(成分:アムホテリシンB)で事足りるのではないか?と考えてしまいます。
MRさんに「同効薬と比べてメリットはなんですか?」と聞いても、「1日1回で済むのでコンプライアンス向上につながると思います。」の一点張り。
いや~、そうなのかもしれないですが、上顎部にずーっと薬剤を貼っておくのもそれなりのストレスになってしまいそうですが…。
そして、なぜかファンギゾンシロップとの比較をしたがらないようで、何度か聞いても華麗にスルーされてしまいました(笑)食道カンジダに使用できない等から劣等感があるのでしょうか??比較していないなら正直に比較していない、とか言ってくれれば良いのに、スルーされるとなんとなく印象が悪くなってしまいます。
唾液中濃度??
説明会の中で、突然下のようなフレーズが出てきました。
「オラビ錠を付着した後、24時間に渡って唾液中のミコナゾール濃度が100を超えていました」
まず濃度の単位は無いし、そもそもMIC(最小発育阻止濃度)も分からなければ、その100という数字が凄いのかどうかさえ全く分かりません。勉強会後に渡された資料を見て初めて100という数字が、想定されているカンジダ属に対するMIC「1μg/mL」を優位に超えている数字だと認識できました(ちなみに100の単位もμg/mLでした)。
ですが、フロリードゲルの添付文書にこのような情報が載っていました。
引用元:フロリードゲル添付文書
一概にMIC「1」と考えるのは良くなさそうです。と言っても、「albicans」で≦0.04~20なので、「100」を超えていれば問題はなさそうです。
ですがここで一つ疑問が出てきました。
「唾液量によってだいぶ左右されるのでは??」
口腔カンジダに罹患する方の口腔環境が良好かと言うと…。そういった条件で、中には唾液量が豊富な患者もいれば、唾液量が少なくて口腔内が常に乾燥しているような患者もいるかと思います。
この点について聞いてみても明確な返答は得られませんでした。なんとか自力で調べる必要がありそうです。
オラビ錠についての薬ザリ的まとめ
・1日1回の使用なのでコンプライアンスが保たれる可能性がある
・食道カンジダには適応がない
・フロリードゲル同様、併用薬に注意する必要がある
・薬を使用した時間を覚えておくように指導する必要がある
・実際使用している患者さんの感想を聞いてみたい
他にも薬剤についてまとめていますので、もしご興味があれば覗いて行って下さい!
www.yakuzari.work
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