2021年7月19日夜。
レムデシビル(ベクルリー®)、デキサメタゾン(デカドロン®)、バリシチニブ(オルミエント®)に加えて国内で4例目の新型コロナウイルス感染症治療薬として「ロナプリーブ®点滴静注セット」が製造販売承認を取得しました。
まずは添付文書を読まなくちゃ!!
そして、ロナプリーブの入手方法は??
薬剤自体の価格は??
どういった患者さんを対象にしたら良いのか??
承認取得直後の私の疑問点は増えるばかりですが、この記事を書いている現時点で調べられた分の情報をまとめていきたいと思います(内容は随時更新していこうと思います)。
「ロナプリーブ」の添付文書は??
現時点では厚労省からのPress Releaseで確認できました。
おやっ??
どうやら、
「ロナプリーブ点滴静注セット300」
というのと
「ロナプリーブ点滴静注セット1332」
という2規格存在するみたいですね。
「ロナプリーブ」はカシリビマブとイムデビマブの2種類がセットになった製剤で、それぞれを600mg単回投与となっています。
ここで内容量の確認ですが、「ロナプリーブ点滴静注セット300」にはカシリビマブ300mgとイムデビマブ300mgが入っています。
つまり、この「ロナプリーブ点滴静注セット300」を使用する場合はこのセットを2個準備しないと1人分になりません。
同じように「ロナプリーブ点滴静注セット1332」を考えてみると、カシリビマブ1332mgとイムデビマブ1332mgが入っています。
つまり、この「ロナプリーブ点滴静注セット1332」1セットで患者2人分となります。
なんてややこしいんだ!!
※1332というのは「注射液吸引時の損失を考慮して、過量充填されている」と添付文書に載っているので、損失分を考慮しての1332のようです。。それならなんで300の方は損失を考慮しなかったんだろう。。
開発段階で何かあったのかもしれませんが、、もう少し規格に気を使えなかったのか??
と思ってしまいます。。
300と1332の間の600のセットを作ってくれれば「1セット=1人分」になって全てが丸く収まるのに…
と騒いでも規格が増えることはないと思いますので、冷静に調製間違いをしないように気を付けるしかありませんね。
「ロナプリーブ」の入手方法は??
実は、ロナプリーブが製造販売承認を取得したと聞いて私が真っ先に思ったことは
「どうやって入手するのだろうか?」
ということでした。
普通の薬剤みたいに卸さん経由で発注するのか、、
それともアビガン®のようにメーカーに直接発注するのか、、
それともベクルリー®のようにG-MIS(新型コロナウイルス感染症医療機関等情報支援システム)経由で配布希望の旨を国に伝えるのか、、
なかなか情報が出ていない中で、m3で下記のような記載がなされているのを発見しました。
国の委託を受けて、中外製薬が医療機関からの希望を受け付けて配送する。7月20日から流通が始まる。
引用元:m3「新型コロナの抗体カクテル療法特例承認、入院・死亡リスク7割減」
m3の情報が真であれば、どうやらアビガン®に近い方式になるみたいですね。
と思いながら7月20日に病院に出勤したところ動きがありました。
ちょうど薬剤部長宛てにロナプリーブ登録センターなるところから郵便物が届いていたのです。
中身を見てみると、どうやらこのロナプリーブ登録センターへ医療機関登録し、その後ネット上で流通が管理されるようです。
ちなみに、中外製薬に確認したところこの郵送物は対象病院1万2000~1万3000施設に送られているとのこと。
この郵送物が届いていない病院は対象病院外ということになるので、まずは自分の施設が対象病院化を知るためには郵送物の確認を行いましょう。
※どういう仕組みかは分かりませんが、自分の施設が対象病院かを中外製薬に問い合わせても「私どもには対象病院の情報が一切ございません」と言われます。
「ロナプリーブ」の価格は??
新型コロナウイルス感染症に対する治療費は自己負担ゼロですが、薬自体が無料というわけではありません。
あくまで国が負担してくれているだけであって、薬には当然お金がかかります。
薬が安いから、高いからで何かを決めるわけではありませんが、私達薬剤師は医療経済のことも考えながら仕事をする必要があります。
ということで簡単に調べてみましたが、、情報を見つけられず。。
どなたか知っている方がいらっしゃいましたら是非教えて下さい。
「ロナプリーブ」を使用する対象患者は??
「ロナプリーブ」の投与対象は
軽症から中等症の患者
となっています。
軽症の患者に使用できる治療薬は初めてということになります。
「COVID-19重症化リスク因子を持つ外来患者さんの入院・死亡リスクを低下させるとともに、重症化の抑制と症状消失までの期間短縮が臨床試験において示されています」
と中外製薬代表取締役社長 CEOの方はお話されています。
ですが、適応は
「COVID-19の重症化リスク因子を有し、酸素投与を要しない患者」
とされており、日本国内では入院対応となる患者群となります。
つまり、少なくても国内では入院リスクを低下というのは期待できません。
というか入院後の投与が想定されるため、死亡リスクを低下させる、重症化を抑制する、症状消失までの期間を短縮させることを期待して投与することになりそうです。
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当ページに記載されている内容は随時更新予定ですが、最新の情報は添付文書等の公的文書をご確認をお願い致します。
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