薬剤師とザリガニの奮闘記

~薬ザリ(yakuzari)の備忘録~

モデルナワクチンを廃棄する際の葛藤と罪悪感

【スポンサーリンク】

先日、私が勤務している病院を会場にして職域接種が行われたのですが、案の定数人分のワクチンが余りました。


そこで頭を過ぎるのが…


廃棄するぐらいなら3回目打った方が有意義だよな…


という考え。


本記事を書いている現時点(2021年9月6日)では3回目の接種は認められておらず、余ったからと言って勝手に打つのはルール違反です。


ですが、自分の手でワクチンを廃棄してしまうのも罪悪感が半端ないです。。


国には是非、3回目接種の準備を早く進めていただきたいと思います。

廃棄予定のワクチンを医療従事者が勝手に接種した

先月末「余ったワクチンを医療従事者が勝手に接種した」ということでニュースになっていました。

www3.nhk.or.jp


このニュースを見て、


「はっ?何勝手に打ってんの??」


というのが私の感想でしたが、このニュースのコメントやSNSでのコメントを見てみると


「第一線で頑張ってくれている医療従事者だからいいじゃないか!」

「無駄にするよりは良い」


など、勝手に打ったことを肯定するような意見が多く、正直愕然としていました。


それじゃー医療従事者だったらルールなども守らずに勝手なことをしてよいのか??


そんなことを思っていた私ですが、いざ自分がそのような環境に置かれてみると少し考え方が変わりました(勝手に接種したことを肯定する気はありませんよ)。

モデルナワクチンを廃棄するに至った経緯

職域接種当日。


この日は210数名の接種予定者ということで、20バイアルのモデルナワクチンを準備していました。

※1バイアルあたり11人分確保できるシリンジを準備してもらったので、20バイアルで最大220名分のワクチンを準備できます


朝から着々と接種が進んでいくのですが、どうしても出てきてしまう当日キャンセル。


日程を間違って覚えていた、、熱がある、、音信不通、、


様々な理由で接種予定者数から1人また1人とリストから消えていきます。


そして最終的に接種したのが211名。


そのため、20バイアル目のバイアルからは2人分だけ分注し、残り9人分は残液として廃棄する運びとなりました。

モデルナワクチンの残液
実際に余ったモデルナワクチン

手前は1人分の薬液を分注したけど使わなかったシリンジで、奥のバイアルには8人分の残液が入っています。


もちろん場所が病院だったということもあり、接種可能な方がいないかを探しました(実際に打てるかどうかは別として、まずは候補者がいるかの確認を行いました)。


しかし、当院の職員は全員今年の2-3月に先行接種で接種済みであり、その場にいた病院外関係者も全員接種済み。


そのため、廃棄するという苦渋の決断を強いられました。。

モデルナワクチンを廃棄する際の葛藤と罪悪感

余った9人分のワクチンを手にしてゴミ箱の前に佇む私。


「このワクチンもったいないよな…」

「接種を首を長くして待っている方もいるぐらいなのに…」

「どうにかならないものだろうか…」


などと考えている間に、記事の冒頭に書いたあの考えも出てきました。


「廃棄するぐらいなら3回目打った方が有意義だよな…」


これを実行するかしないかは別として、おそらく多くの医療従事者が同様のことを考えるのではないでしょうか。


どう考えても勿体ない!!


そしてここ最近は世界中のあらゆるところで3回目の接種推奨という話が出てきています。


もしこの3回目の接種を実行にうつすとなると、これまたワクチン供給不足が予想されます(あくまで個人的予想です)。


そのことが容易に想像つくのに、今この手にあるワクチンを廃棄しなければならない。。


すごい葛藤しながらも、私は9人分のワクチンを廃棄しました。。


こういった端数の廃棄が、全国のワクチン接種を行っている会場・病院全てで行われています。


たかだか数人分のワクチンかもしれませんが、、これも「ちりつも」です。

※ちりつも:塵も積もれば山となる


このちりつもを少しでも小さな山にするために、国には早急に3回目の接種の是非を判断していただきたいと思います。


現場からは以上です。