薬剤師とザリガニの奮闘記

~薬ザリ(yakuzari)の備忘録~

薬剤師がおススメする腎臓(腎機能)関連の本を7冊紹介します(2022年2月更新)

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「薬剤師は一生勉強!」


というフレーズを時折目にします(薬剤師だけではありませんね)。


薬剤師に限らず医療系の職業は「一生勉強」と言われることが多いですが、実際に勉強するタイミングだったり内容は人それぞれかと思います。


・新しい薬が発売された時
・新しい薬が自施設で採用された時
・患者さんが持ってきた薬で、自分が知らない薬があった時


薬剤師になりたての頃は薬のことを覚えるのに必死で上記のようなタイミングで勉強することが多かったのですが、今求められている薬剤師像というのは「医療全体をしっかりと把握した上で薬物治療に於いて職能を発揮すること」ではないかと個人的に強く感じており、上記のタイミングだけでの勉強ではどうしても不足してしまいがちです。


では、どういったことを勉強したら良いのか?


というのを今回は腎臓、特に腎機能に関わる本を6冊紹介したいと思います。


※私の勤務先の病院では、初期の腎不全~末期腎不全(保存期)の治療に加えて、腎代替療法として血液透析・腹膜透析・腎移植も行われており日常的に腎臓のことを意識しながら仕事をしています。そのような環境で勤務している薬剤師がおすすめする本としてご覧ください。

薬剤師がおススメする腎機能関連の本①:腎と薬のファーストレッスン

表紙に「薬局薬剤師の入門書」と書かれています。


内容を見てみると確かに入門書的な内容も入っていますが、、


間違いなく全薬剤師が一度目を通した方が良い内容です。


基本情報


出版社:じほう


ページ数:240


発売日:2021年9月1日


おすすめポイント


私自身が勉強になったことが多々あったというのはもちろんですが、病院に入職して2-3年目の後輩に読んでもらったところ


「すごく読みやすくて勉強になりました」


などと話していました。


何と言うか、、、本全体が読みやすくなっているんですよね。


ページ数も240ページと決して分厚くもなく、自然と読み切れる丁度良い文量の入門書だと思います。


腎臓病の勉強のとっかかりとするにはもってこいです!!

薬剤師がおススメする腎機能関連の本②:腎薬ドリル

基本情報


出版社:じほう


ページ数:308


発売日:2021年11月1日


おすすめポイント


今現在(2022.2)読み進めているところですが、これは臨床での力が付きそうな予感がします。


ドリルと言うだけあって穴埋め問題で読み進めていくところがあるのですが、必ず詳しい解説なども付いており、今日からでも応用できそうな知識が目白押しです!


腎臓に携わる薬剤師としては早く読破しなければと焦っています(笑)


薬剤師がおススメする腎機能関連の本③:腎不全と薬の使い方Q&A(第2版)


腎不全と薬の使い方Q&A第2版
腎不全と薬の使い方Q&A(第2版)


発売された当時は、この本が出版(改定)されるのを首を長くして待っていたのを覚えています。


臨床になぞらえた考え方が多く記載されており、重宝しています。


基本情報


出版社:じほう


ページ数:899


発売日:2020年4月30日


おすすめポイント


全部で899ページの割にはそこまで分厚くなく、ページ数の割には保存場所にもそんなに困らなそうな本書。


ある著者はこんなことを言っていました。


「各著者が書きたいことを書いたため、予定よりもページ数が増えてしまった」


販売価格は据え置きだったようなので、読者側からしたらうれしい誤算ですね(笑)


腎臓病薬物療法を学ぶための本は今までも発売されてきました。
※本書以降に紹介している書籍など


もちろんどれも勉強になり、読者の知識向上に間違いなく寄与してきたと思いますが、本書には他の書籍にない特徴があります。


それは、


「知識だけではなく行動力も養われる」


ことです。


薬剤師はよく頭でっかちと言われることがあります。


知識のみ蓄え、それを実践(臨床)に応用しない。


宝の持ち腐れとも言えるのかもしれませんが、本当にもったいないですよね。


ある処方箋を手にして内容を吟味した結果「ここがおかしい」とか「この薬はこのようにした方が良い」と考えることはできても、それをどのように臨床に生かしたらよいのか分からない。


しまいには「先生が出した処方だからこのままで良いか」と自己解決してしまうケースもあると耳にします。


果たしてこれは目の前の患者さんのためになっているでしょうか?


なっていないですよね?


本書ではQ&A方式で腎臓病薬物療法の理解を深めると同時に、こういう時は少なくてもこういう行動をしよう、などと親切丁寧に「知識」だけではなく「行動」の部分まで言及してくれています。


内容を紹介してしまうと著作権侵害につながる恐れがあるので詳しくはここで紹介できませんが、ひとつだけ印象に残っている内容を紹介します。


「何かアクシデントがあって入院となることが多い。時間経過を意識しその原因と結果を推測する。その時点(自分が関わった時点)における腎機能評価による投与量設計だけが仕事ではない」


入院中に何かを気付いて処方変更や提案をしたとしても、それが入院期間中は良くても普段の生活を考えるとその提案は不適であるケースもあります。そういった背景も考えたうえで「行動」する必要があると教えてくれます。


本書を読むことで、ケースバイケースで症例を考えていくスキルが身に付けられるかと思います。


腎臓病薬物療法に関して初心者の方はもちろん、中級~上級と自負されている薬剤師の先生方にもぜひ一度目を通してもらいたい本となっています。


薬剤師がおススメする腎機能関連の本④:透析患者への投薬ガイドブック 改定3版


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分厚いですがかなり使い込んでます!


基本情報


出版社:じほう


ページ数:1124


発売日:2017/6


おすすめポイント


ま~分厚い本です。なんせ1124ページですからね…。


内容の構成としては、前半約200ページに腎不全患者に対する薬物投与量を考える際の基礎知識などについて書かれています。


大学の講義でも聞いたことがあるような内容もありますが、どれも臨床でも使える(使わなければならならい)知識ばかりで、この200ページだけでもかなりの価値があります。


そして、この本の醍醐味が後半の1000ページにあります。


なんと、薬剤一つ一つの細かい薬物動態の情報などが網羅されています。


この情報量が本当にすごいです!!


何品目の薬が載っているのか僕は存じ上げていませんが、載ってない薬は無いのではないか?と思わせるほどの情報量です(もちろん本発売後の新薬等は記載されていません)。


それぞれの薬剤の通常投与量から、CCr(クレアチニンクリアランス)別での推奨投与量、透析患者や腹膜透析患者の推奨投与量、その他薬物投与設計に必要な各種パラメーターがごっそり記載されています。


腎疾患に関わる薬剤師必読です!!


薬剤師がおススメする腎機能関連の本⑤:腎機能別薬剤投与量POCKET BOOK第3版


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常に白衣に入ってます!

※写真は第2版のものになります


基本情報


出版社:じほう


ページ数:500ページ


発売日:2020/7


おすすめポイント


最初のページは「腎機能の正確な評価」と題して、腎機能を語る上で基本となる内容が書かれています。その後に何百ページにもわたって、あらゆる薬剤の腎機能別推奨投与量が網羅されています。もちろん透析性の有無なんかも記載されています。データの大元は日本腎臓病薬物療法学会という事で信頼度も高いです。


そして、なんと言ってもこの本の良い所は「ポケットブック」であること!!白衣のポケットに忍ばせてても何ら違和感がありません。


上で紹介した「透析患者への投薬ガイドブック」は重くて持ち歩けないよ~という人にはこちらをおすすめします。


薬剤師がおススメする腎機能関連の本⑥:腎疾患の服薬指導Q&A―CKDから透析患者まで


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…ボロボロになってしまった。。


基本情報


出版社:医薬ジャーナル


ページ数:503ページ


発売日:2012/3


おすすめポイント


新人薬剤師にはまずこれを読め!と指導するくらい当院では身近な本となっています。
本の構成としてQ&A方式で書かれているのですが、そのQが正に適確!!普段の業務でいつ遭遇してもおかしくないQが目白押しで、即実践に使えるような内容が目白押しです。


薬のことはもちろんですが、腎臓病と薬剤との関係を密に説明してくれていて、読んでいるうちに自然と腎疾患のことも勉強できるようになっています。


今でもたまに見返すと「あっ、そうだった!!」と再度気づかされることも多々あります(ただ記憶力がないだけの可能性もありますが…)。


新人さん+今から腎臓について勉強しようとしている方におすすめの本です。


紹介しておいてなんですが、多少古いため手に入れるのは大変そうです。。


薬剤師がおススメする腎機能関連の本⑦:よくわかるTDM第3版


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基本情報


出版社:じほう


ページ数:410ページ


発売日:2014/6


おすすめポイント


少し腎臓とは離れるかもしれませんが、腎臓と薬を考える上で薬剤によってはTDMの知識は不可欠です。


腎不全患者に使用する薬剤でTDMが重要なものとして「バンコマイシン」「テイコプラニン」「ジゴキシン」、腎移植後に使用する薬剤でTDMが重要なものとして「タクロリムス」「シクロスポリン」などがありますが、それらの考え方についても分かり易く記述されています。


その他テオフィリンやフェニトインなどのTDM対象薬剤についてももちろん網羅されている為、手元にあるとすごく心強い1冊です。


薬剤師がおススメする腎臓(腎機能)関連の本まとめ


以上、7冊の本を紹介させていただきました!


勉強したい内容と合致するような本がもしあれば、まずはチェックしてみて下さい。