薬剤師とザリガニの奮闘記

~薬ザリ(yakuzari)の備忘録~

病院薬剤師が「アンサング シンデレラ3巻」を読んでの感想

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だいぶ前に読んではいたのに、なかなか記事としてまとめられていなかった

「アンサングシンデレラ3巻」

ですが、ようやくまとめることが出来ました。

ドラマ化の正式発表もされており、ますます目が離せなくなったアンサングシンデレラ。

今回も病院薬剤師としていろいろと考えさせられるテーマが目白押しで、楽しくもあり涙する場面もあり…。

ネタばれ含みで私の感想を書いてみたいと思います。

アンサングシンデレラ第11話

毎年必ず流行するインフルエンザ

「インフルエンザの流行が拡大-全国的に猛威を振るっています」

毎年必ずこのフレーズをテレビ等のマスコミから耳にします。

実際はこのフレーズで流行っていることを認識するというよりは、抗インフルエンザ薬の消費具合で認識する方が早いかなと個人的には思っています。

主人公「葵」の病院は院内処方なのでしょうか。

調剤室(薬剤師が薬を調剤して患者さんに薬を配布するところ)はまるで地獄絵図です。

漫画の中ではタミフル(抗インフルエンザ薬の一種)が大量に処方されていることが読み取れますが、、ここで一つ疑問が。

「インフルエンザになったら抗インフルエンザ薬を使用しなければならないのか?」

おそらく多くの医療従事者が思っていることかと思います。

本編でも触れられていますが、「絶対に必要」というわけではないと私は考えています。

「だいたい20世紀の終わりころまで対症療法で何とかなってたのに、他の国ではこんなにバンバン薬出さないですよ」
→ハクの言葉

この場では絶対に必要か必要ではないかの話しは掘り下げませんが、微熱だけで抗インフルエンザ薬を処方しなければならないと思っている医師が多数いるのは事実なのかなと思います。

インフルエンザは予防出来ないのか?

ここまで流行すると分かっているのであれば予防すればいいじゃん!

というのが、本回のテーマの一つでもあるかと思います。

・インフルエンザワクチンの接種


・健康的な生活


・手洗いうがい


・マスクの着用

パッと思いつく予防方法はこんな感じです。

しかし大事なことは、

「どの方法も100%インフルエンザを予防できるものではない」

ということです。

医療従事者にもこの点を勘違いされている方が一定数います。

「なんでワクチンを接種したのにインフルエンザにかかるの?」

答えとしては、

「ワクチンはあくまで発症の可能性を抑え、重症化を防ぐ目的だから」

です。

極論ですが、ワクチンで100%防げるのであれば定期接種にしてしまえばここまで騒がれることもありませんからね。

とは言ってもワクチンを含めて予防策をしっかりすることは大事です。

なぜか流行してからマスコミが騒ぎ始めますが、どうせなら流行期前に騒いでもらって上記のような予防策を徹底的に国民に拡げてもらいたいぐらいです。

その一環としてハクが「インフルエンザについて知ってほしいこと」というタイトルで配布資料を作成していますが、素晴らしい取り組みかと思います。

唯一の欠点は、病院に普段かかられていない方の目には入らない、というところでしょうか。

しかし無いよりはあった方が良い取り組みですので、自分の病院でも少し見直してみたいと思います。

アンサングシンデレラ第12~15話

正直に言いますが、この12~15話を読んでいて自然と泣きました。。

ストーリーを読んで泣いたということもありますが、自分が初めて患者さんの「死」に携わった時のことを思い出し、いろいろと考えさせられながらも涙が自然と流れていました。

ここまでは1話ずつ感想などをずらずらと書かせてもらっていましたが、ここは便宜的に3つに分けて書かせてもらいます。

樹里ちゃん編

摂食障害で悩んでいる少女、樹里ちゃん。

入院して点滴での栄養コントロールが開始されたときに「リン製剤」が点滴に入っていることに気付いた葵。

主治医(久保山先生)にリン製剤が入っていることを疑義すると

「リフィーディング症候群って知ってる?」

と、葵にリン製剤を投与する理由を簡単に解説してくれています。

知っている人からすれば当然ですが、臨床では知らなければなかなかリン製剤を投与する理由にはたどり着けないかもしれません。

この話を読んで初めて「リフィーディング症候群」の存在を知って、実際の業務でも生かせた薬剤師もいるのではないかな?と思います。

なんか電解質が崩れているな??

という症例が目の前にあったとき、今一度この「リフィーディング症候群」のことを思い返すと電解質が崩れている理由が見えてくるかもしれませんよ。

さて、話は戻りますが、点滴から少しずつ経口での栄養摂取も出来るようになってきた樹里ちゃん。

しかし、また食事の摂取量ががくっと落ちてしまいます。

理由は樹里ちゃんの家族にありました。

家族編

樹里ちゃんのおじいちゃんも同じ病院に入院しています。

病名は末期の胃がん。

しかしおじいちゃん本人へは未告知。

未告知は樹里ちゃんのお父さんが考えて判断した様子。

そしてそのことを全て知っている樹里ちゃん。

・樹里ちゃんのおばあちゃんも癌で亡くなっているいるから告知しない方が良い

・告知すると治療を受けてくれないのではないか

・おじいちゃんは樹里ちゃんに苦しんでいるところを見られたくないのではないか

これらをお父さんは自分で抱え込んで方針を判断していたが、

それはお父さんの勝手な考えでその考えを押し付けるのはおかしい!

と感情をあらわにします。

自分たちがおじいちゃんにうそをついて治療を受けさせているところに彼女なりに疑問を感じていたけど、なかなか家族内で話し合いが出来なかった。

そのようなすれ違いが家族の中にあったことが読み取れます。

ですが、臨床心理士などの働きかけでようやく告知をすることになります。

おじいちゃん編

おじいちゃん本人に告知をする段階で既に抗がん剤治療は開始されていました。

ここで初めて抗がん剤治療を受けなければ余命3ヶ月と知らされます。

葵もその告知の場所に同席しており、患者の死を意識していたはずですが、、

抗がん剤のこと、緩和ケアで使用する医療用麻薬のこと、様々なことを学んでいる葵ですが、そんな中おじいちゃんが発熱等で救急搬送されてきてしまいます。

発熱の原因は「誤嚥性肺炎」。

飲む力がなんらかの原因で弱ってしまい、食べ物や飲み物と一緒に肺へ細菌が混入して発症します。

抗がん剤で免疫が落ちているところに誤嚥を起こし、今回のようなことになってしまいました。

そしてその「誤嚥性肺炎」が直接の原因ではないと想定されますが、このままおじいちゃんは退院することなく息を引き取られてしまいます。

アンサングシンデレラ3巻を読んで率直に感じたこと

3巻を読んでいて一番印象に残っているのは第14話の下の場面。

久しぶりにおじいちゃんに会いに病室を訪れた際、あまりに痩せこけていた患者を見て

「えっ…」

と驚いていた描写がありました。

そしてそれを鋭く察知する葵に癌関連の指導を行っている薬剤師の江林さん。

病室から出て葵は江林さんに注意されます。

柴崎さんの姿見て動揺したよね?

気持ちはわかるけど患者さんは敏感に感じ取るからね。

気を付けて。
引用元:アンサングシンデレラ3巻P130

この気持ちはすごく分かります。

正直患者さんに会いに行って予想外の状況であることは多々あります。

しかし、その予想外であると感じていることを患者さんに見せてしまう、悟られてしまうというのは医療従事者としては失格まではいきませんが、ご法度かと考えます。

「えっ…」

と少しでも顔に出してしまい患者に感じ取られてしまうと、おそらく

「やっぱり俺は悪くなったんだ」

「びっくりするぐらい痩せてしまったんだ」

などと悲観的な考えに繋がってしまいます。

そのため私達医療従事者は例え頭で何を考えよと、何を思ったにせよ、マイナスに捉えられてしまうことに関しては表面に出すのはよろしくありません。

ただしここは経験が必要なのかなと思います。

患者さんの変化にいち早く気付ける観察力(ちょっと言い過ぎかな?)を身に着けつつ、無駄な不安を与えないように時にはポーカーフェイスになることも必要なのかもしれません。

アンサングシンデレラ1巻、2巻の感想はこちら↓↓
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