薬剤師とザリガニの奮闘記

~薬ザリ(yakuzari)の備忘録~

ようやく現役病院薬剤師が「アンサング シンデレラ(2)」を読んでみた!!

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ようやく、ようやくです!

2019年5月に発売されたアンサングシンデレラ(2)をようやくGetして読破しました!
※一緒に3巻もGetしたので近々同様の感想記事をアップする予定です。

一応本業が病院薬剤師ということもあり気になる漫画の一つですので、紹介を兼ねて一個人の病院薬剤師目線で感想を書かせてもらいたいと思います。

※ネタバレ注意

アンサングシンデレラ第6話

MR、調剤薬局、ドラッグストア、病院それぞれの薬剤師

第6話は、主人公である葵が大学時代の友人との飲み会に参加している場面からスタートします。

その飲み会に参加している友人がMR、調剤薬局、ドラッグストアそれぞれで働く薬剤師で(葵は病院です)、それぞれの業界の内情を暴露しています。このような展開は私の現実世界でも数年前あったような気がします(笑)

「患者さんと密に接したい」「薬の営業をしたい」「家庭があるから定時で帰りたい」「年収が全て」

大学生活はみんなで同じことを勉強・体験してきたはずなのに、みんなそれぞれ重視することが違うっていうのがなんとも不思議でした。

しかし私の友人はそれぞれの業界で働いて大きな後悔はしていないようなので、漫画の世界の葵と葵の友人達にも頑張ってほしいと思います!

※この中では年収が一般的に低いとされている病院薬剤師の葵ですが、私自身も葵の考えに近いことを考えて仕事をしています。

院内在庫の棚卸&期限チェック

その翌日、葵の病院の薬剤部では棚卸が行われます。

コンビニ等でも棚卸ってありますよね??

基本的にはあれと同じことを病院全体(もしくは薬剤部のみ)で行います。

つまり、病院内(もしくは薬剤部)にある薬を1錠単位で数える!!

というすごく地味な作業です。

私の病院でも月1回棚卸を行いますが、葵の病院とは少し勝手が違います。

それは、

1錠単位までは数えない!

です。

本当は数えるべきなのかもしれませんが、なにせ薬の払い出しは24時間行われているので、正確な数はどうしても把握できません(本当に正確な数を把握するのであれば、棚卸を行っている時間は完全に薬の払い出しを止める必要があります→事実上不可能)。

そのため若干適当になってしまうことも…。

実際このアンサングシンデレラでも葵の上司である瀬野さんが薬の山を見て、

「う~ん…200」

と適当に数えている場面があります(笑)
→同僚には大きな声で言えませんが、すごく気持ちが分かります。

そんなこんなで棚卸が終了した後に、これまた葵の先輩である刈谷さんが分析をして部内に伝達します。

「在庫の動きなど大きな変動はないのですが、コストを抑えられるところとして以前から言われている術後抗生剤の処方量を減らしていけると考えます。各病棟の担当はガイドラインに沿って術後抗生剤の使用状況を確認してください。」
※アンサングシンデレラ第2巻P19一部引用

このようなコメントがありますが、私は少し違和感がありました。

簡単に言うと、

「それって、電子カルテで過去歴をまとめればすぐに分かるんじゃない??そして、それって病棟担当の人ではなくて、感染を主に頑張ってる薬剤師の仕事じゃない??」

ということです。

だいぶマニアックな話ですが、術後抗生剤が適正に使用されていない(無駄に長期間使用しているなど)というのは現在大きな問題として取り組んでいる病院が多々あるかと思います(当院も然り)。もちろん病棟担当の方に動いてもらうのも構わないのですが、現在はICTやASTというチームを組んでいる病院も多々ある中で、病棟担当の薬剤師が単品で動くよりもチームとして各科に変更などを打診した方がスムーズなのかな~と個人的には思いました。

この後、葵は言いつけの通り疑義紹介をし医師との話し合いの場を持ちますが、医師の意見を変えることはできませんでした。しかし刈谷さんが手助けすることで医師の考えに変化が生じる…という描写がありますが、刈谷さんは人に頼んだだけではなく、自分でも実行するところは素晴らしいですね。

アンサングシンデレラ第7話・第8話

2話にまたがってストーリーが展開していくので、今回は2話まとめて思ったことを書かせてもらいます。

血液透析

皆さんは自分の腎臓がどういった働きをしているかご存知ですか??

なんとなくは分かるけど、詳しいことは分からないという方が大半かと思います。

さらに、腎臓が全く働かなくなったとき、人はどうなると思いますか??

腎臓が全く働かなくなったときに何もしないと、その人は間違いなく亡くなってしまいます。

それではどうしたら良いのか??

→腎代替療法を行います。

ここでの詳細な説明は省きますが、おおきく分けて3つの選択肢があります。

ひとつは、本編にも出てくる「血液透析」。その他には「腹膜透析」や「腎臓移植」といった選択肢があります。

そして、どの療法を選んだとしても必ず「薬」が予後を左右すると言っても過言ではありません。

つまり、内服薬を指示された通りにいかに飲めるかが患者さんにとっては大きなポイントとなります。

そういった背景を把握した上でこの話は見てもらいたいと思います。

大量の持参薬

今回の患者さんは長期間、血液透析を受けられている患者さんです。

病院に入院すると、その時点で使用している薬の提出を求められます。この時、患者さんが持ち込んだ薬を「持参薬」と言います(病院に持参された)。

この患者さんの持参薬を目の前にしている葵に向かって瀬野さんが

「廃棄品?」

と勘違いしてしまうぐらいの大量の薬を雑に管理していた患者さん。

この時点でこの患者さんはコンプライアンス不良(指示された通りに飲めていない)であることが濃厚です。

不思議と経験を積むと、持参薬を預かった瞬間に「この患者さんはしっかりと薬を飲めているな」とか、「この人は全く飲めていないだろうな」などと予想できるようになります(笑)

もちろん予想が外れることもあるので過信は禁物ですが、私の場合は大体当たります(←自慢)。

ちなみに「廃棄品」と勘違いしてしまうぐらい大量で且つ雑な管理をされている持参薬を預かると、その薬剤師のテンションはガタ落ちです。。

調剤薬局薬剤師との距離感

今回の患者さんがコンプライアンス不良である原因は、普段薬を調剤している調剤薬局の薬剤師のせいではないかと葵が抗議(?)の電話をします。

薬剤師では誰でも知ってるであろう徐放剤の半錠調剤だったり、食直前内服しか許可されていない薬を食後に内服させたり…

葵が言ってることはもちろん間違いではないのですが、どうやらここで調剤薬局と病院薬剤師の「見えない壁」が見え始めてきます。

調剤薬局の薬剤師が

「そっちの理想を振りかざすんじゃねーよ」

という台詞を葵に吐きますが、私の胸にも何かが突き刺さったかのような錯覚を覚えました。

おそらく、調剤薬局薬剤師も病院薬剤師もお互い壁を作りたくて作っているわけではないと思います。

しかし、なんとなく感じてしまう「壁」

なぜできてしまうのかもよく分からない「壁」

その原因の一つが、もしかしたら今回のストーリーで見えてきたかもしれません。

それは、

働いている環境が違いすぎる!!

ということです。

病院であれば入院患者との関わりが深くなります(患者さんは入院していますので、時間さえ許せば毎日訪問してコミュニケーションをとることができます)。

それに対して、24時間営業だったり一人で調剤の全てを行わなければならない調剤薬局の薬剤師であった場合はどうでしょう。

患者さんと密にコミュニケーションをとるなんて無理ですよね??
もしかしたら、薬を渡す際の1分間程度のコミュニケーションしか取れないこともあるかもしれません。
私自身病院薬剤師の経験しかありませんが、想像するだけでも無理です。

さらには、

「調剤薬局で時間使ってられねーよ!」

と考える患者さんが少なからずいるのが現実ですので、そういった問題もあるかと思います。

ですが、

目の前の患者さんを少しでも良くしてあげたい!

と考えるのは調剤薬局薬剤師であろうと病院薬剤師であろうと共通認識かと思いますので、本編のように、お互いの環境を理解しあった上で協力体制を築くことが出来たら良いのにな~と思いながらこの話を読んでいました。

アンサングシンデレラ第9話

医療従事者のユニフォーム

ま~これは病院等によって全く違うかと思いますが、私が勤務している病院の薬剤部では瀬野さんのようなスタイルでも良いですし、葵のようなスタイルでも働ける環境となっています(もちろんユニフォームは支給されます)

○○

そして、本編でも指摘(?)されているように医師はなぜか自由度が高いです(笑)

冷静に考えると、いくつかの病院を兼務(お手伝い?)している医師も多く、統一感がどうしてもなくなってしまうのは分からなくもないですが、どこかで規制線は張らないといけませんよね。

その規制線となるのが「接遇委員会」

私の病院にはこのような「委員会」としての組織はありませんが、なんとなく目を光らせている方はいます(笑)

この回は、現実で自分が言われているのではないか?と錯覚するぐらいビクビクしながら読ませていただきました。

アンサングシンデレラ第10話

薬剤費

薬はお金がかかります。

自己負担が1割~3割で済むとされている日本でも、一生涯薬を飲み続けなければならないとなると大きな出費であることには変わりありません。

「お金がかかるから薬を飲むのをやめる」

「お金がかかるから病院に行くのをやめる」

いろいろと考える人がいるようですが、もし薬剤費で気になることがあったら薬剤師に一度相談してみてはいかがでしょうか??

実際、今回の話しでは葵が患者さんの生活のことなどを考慮して、先生が処方した薬をなるべく安く済ませられるように処方変更を提案し、実際に安くなっています。

不要な薬を減らすということももちろんですが、現在国が推進している「ジェネリック医薬品」への変更も検討してくれるかと思います。

ちょっと話題からは逸れますが、下の記事の一部で「ジェネリック医薬品」について解説しています
www.yakuzari.work

ジェネリック使用に対して賛否両論あるようですが、一度相談してみて下さい!!

アンサングシンデレラ(2)のまとめ

1巻に引き続き、本の紹介ではなく一病院薬剤師の意見を羅列するだけになってしまいました。。

www.yakuzari.work

逆にネタバレが要素があまりないのかな?

とも思いますが、この漫画には不思議な魅力があります。

それは私が病院薬剤師だからなのか、それとも一個人として不思議な魅力に吸い込まれているのかは不明ですが、今後も楽しく拝見させていただこうと思います。