薬剤師とザリガニの奮闘記

~薬ザリ(yakuzari)の備忘録~

現役病院薬剤師が「アンサング シンデレラ」を読んでみての感想!!

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先日ふと時間が出来たので、近所のブックオフに行ってきました。


特に何が欲しいというものはなかったのですが、以前から気になっていた「アンサング シンデレラ」の第1巻が目に入り即購入!!


読んでみての感想は、


早く続きが読みたい!!


ここ最近漫画を読む機会はゼロに等しかったのですが、久しぶりに良い漫画に出会ったような気がします!!


ですので、今回は現役薬剤師としての感想と、描かれている内容についての意見を綴ってみたいと思います。


2020年7月16日から放送開始となったドラマの感想はこちらでまとめています↓↓

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2巻、3巻、4巻(最新刊)の感想はコチラからどうぞ!


※ネタバレ含みますのでご注意ください

病院薬剤師がアンサングシンデレラを簡単に紹介

「アンサングシンデレラ」という漫画の存在を初めて知った方のために簡単に紹介します。


一言で言うと、「病院薬剤師を主人公にした本格医療漫画」です。


医者を主人公にした医療漫画(orドラマ)、看護師を主人公にした医療漫画(orドラマ)はいくつもありますが、薬剤師を主人公にした漫画っておそらく今まで無かったと思われます(真剣に探したことはないため、もしあったら教えて下さい)。


薬剤師がどのようなことを病院で行っているのか、どのように他職種と関わっているのか、などという点を描いてくれています。


一般の方々にも病院薬剤師の存在を広めてくれるのでは、という期待とともに、自分の仕事に対するモチベーションも上がる漫画です。


薬剤師だけではなく医療従事者の方々、もちろん一般の方々にも是非読んでもらいたい漫画です。

ところで「アンサング」ってどういう意味??

調べましたよ!


・讃えられない
・世に知られていない
・陽の目に当たらない
・目立たない
・縁の下の力持ち(アンサングヒーロー)


のような意味があるようです。


つまり、


アンサングシンデレラ=目立たないシンデレラ≒目立たない病院薬剤師


って感じでしょうか?

アンサングシンデレラ第1話

第1話を読んでみて率直に思ったことを書きます。

病院薬剤師による疑義紹介について

第1話の冒頭、主人公の「葵みどり」は処方箋で医師の処方ミスを発見し、処方元の医師に疑義紹介をしようとしますがなかなか連絡が取れず。結局翌日の朝に医師をつかまえて確認を取ることが出来たけど、「そんなケアレスミスで疑義をして時間を無駄にしてるんじゃないよ!!」と言われてしまう、という描写があります。


なかなか確認が出来ないことはよくあります。。法律上、ケアレスミスと分かっていても処方した医師に確認が必要であり、勝手に処方内容を変えることは出来ないため仕方がないことではありますが、


「そんなケアレスミスで疑義をして時間を無駄にしてるんじゃないよ!!」


という台詞はなんとなく薬剤師の僕でも思います。
本当にくだらないミスでも確認が必要なんです。


であれば、ミスが出来ないようにしたら良いのでは??とも思います。


今や処方箋はパソコン上で書かれることが多く、手書き処方箋を目にする機会は激減していると思います。手書きであればミスは多少起こってしまうのは分かりますが、パソコンであればある程度のミスは防げるはずです。


電子カルテのデフォルトの設定でもある程度のミスは防げるかもしれませんが、それぞれの病院独自の設定を加えてあげることで


ミスが減る→無駄な疑義紹介が減る→医師・薬剤師ともに無駄な仕事が減る!


とお互いハッピーになれるのにな、と思いました。そのためには薬の知識だけではなく、コンピューターにもある程度強い薬剤師が必要であり、今後は必須になってくるのかな~となんとなく思いました。

入院中の喫煙について

これはよくありますね。入院前まではヘビースモーカーだったけど、入院中は喫煙量がガクッと減る。当たり前といえば当たり前なのですが(入院中は禁煙が基本なので…)、ある種の薬は喫煙量で量を決める・考えなければならないものもあります。突然禁煙したり、本数を減らすことで今回の第1話に描かれているような薬物中毒に陥ることもありますので、喫煙者の方は注意してください。


禁煙を考えていて何か薬を服用されている方は、必ず薬局に相談してから禁煙に向けての行動を始めるようにしましょう!!

アンサングシンデレラ第2話

薬剤師は味覚マニア

この薬は美味しい、まずい…


などなど、薬剤師は薬の味にある程度詳しいです(主人公の葵みどりほどではありませんが笑)。単なる興味があるというのと、やはり薬の味のせいで内服が難しい患者さんは一定数存在するのが現実です。本編では小さい子供が苦味を感じて薬を飲みたがらない、というものでしたが、意外と大人でも「この薬は苦いから飲んでない」とか、「こんな不味い薬飲んでれるか!!」と怒り出すような方もいらっしゃいます。そのような場面に対応できるのは薬剤師ならではだと思います。


薬を少しでもおいしく飲む方法とか、もしかしたら他の薬へ変更することも可能かもしれません。薬の味についてお困りの方は相談してみて下さい。

アンサングシンデレラ第3話

救命救急に携わる薬剤師

この領域は正直私は未知です…


と言うのも、救急の場面に薬剤師が駆けつけるシステムになっている病院ってどれくらいあるのだろうか??病棟で急変に遭遇してそのまま初期対応に入る等はありますが、救急車が今から来るから準備して!というシステムはなかなか無いのでは?


私は一応病院薬剤師歴10年になりますが、10年間同じ病院にずっと勤務しているということもあり視野が狭いだけかもしれません。


しかし主人公である「葵みどり」は病院薬剤師2年目にも関わらず救急対応をしています。純粋に尊敬すると同時に救急領域の勉強もしなくては!と新しいことに気づかせてくれた第3話でした。

アンサングシンデレラ第4話

薬剤師によるバイタルチェック

病院で血圧を測る、脈を確認する、肺の音を確認する、というのは誰がすることだと思いますか??おそらく多くの方が看護師や医師を想像するかと思います。


間違いではありませんが、病院では薬剤師が行うこともあります。処方されている薬が効果を発揮しているか、副作用が出ていないか…などなどいろいろな理由で行うことがあります。薬剤師全員が行うわけではないかと思いますが、今後は薬剤師自身がバイタルチェックを行い、いち早く副作用を発見したり、それらのチェックにより治療が良い方向に向かっていく機会が多くなるのではないかと想像しています。


皆さんも、もし病院で薬剤師に「脈を確認して良いですか?」と言われた際には是非協力してほしいと思います。医師、看護師とはまた違った目線で診てくれると思いますよ。

アンサングシンデレラ第5話

糖尿病に対するインスリン治療

今回の話の中心は、13歳の女の子。


処方されているインスリン注射(血糖値を正常にするための注射。一般的には自分で注射を行う)を行っていれば正常な血糖値を保つと考えられるはずだが、なぜか血糖値が安定せず。理由は後々分かるのですが、患者さんのノンコンプライアンスが原因だった、、という話しです。


※ノンコンプライアンス→患者が、医師の処方による薬剤を指示通りに服用しないこと。


13歳の若い女の子の病名は1型糖尿病。インスリン注射が一生必要と言われる病気です。食事の直前に行うことが一般的で、学校の給食前も例外ではありません。想像しやすいかと思いますが、やはり学校生活は苦しい場面もあったかと思われます。そんな中、病院の同室者に同世代の女の子(こちらも糖尿病)がいて意気投合し、退院したくない!という思いからノンコンプライアンスにつながったと描写されています。


病院薬剤師としての立場上「ノンコンプライアンスな患者さん=指導が必要な患者さん」と考えなければなりませんが、この話を読むとそれだけではないということを再認識させてくれます。患者さんにはそれぞれ背景があって、ただただワガママでノンコンプライアンスになるわけではない(もちろんただのワガママな患者さんも一定数いるかと思いますが…)。指導をする際には、それらの背景を理解してあげた上で指導、というよりは支えてあげる必要があるのだと。


今後ノンコンプライアンスの患者さんを見かけた際には、そういったことを考えながら接してみようと思います!

アンサングシンデレラ(1)のまとめ

本の紹介というよりは、ストーリーに対する一病院薬剤師の戯言・意見を羅列するだけになってしまいました…。
それだけ僕の心に残り、仕事に対する視野のようなものを拡げてくれたのかな?とも思います。


医療関係者以外の方が読んだらどのような感想なんでしょうか??


純粋に興味があります。もし医療関係には携わっていないけど読んだよ!という方がいらっしゃいましたら、コメントもらえるとうれしいです!!

長文最後までお読みいただきありがとうございました!!

2巻に関して戯言を羅列しました!!
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3巻に関しても戯言を羅列!
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4巻!
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病院薬剤師の白衣のポケットの中身が知りたい方は是非↓↓
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