薬剤師とザリガニの奮闘記

~薬ザリ(yakuzari)の備忘録~

薬と食べ物の意外な関係について

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「血圧の薬を飲んでるからグレープフルーツ(ジュース)食べちゃ(飲んじゃ)ダメって言われた…」


「血をサラサラにする薬を飲んでるから納豆食べれないんだ…」


上記のような話(愚痴?)を皆様も一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか??


ご存知の通り、薬には食べ物や飲み物と相性が悪いものがあるとされており


「薬の説明書にもグレープフルーツを控えて(避けて)下さい」


「納豆を食べないでください」


などの注意文が記載されている薬があります。これらについて私なりの私見を述べたいと思います。

薬と食べ物の意外な関係の具体例①:薬とグレープフルーツ(ジュース)

血圧の薬の中でカルシウム(Ca)拮抗薬と言われている薬が代表格でしょうか?

カルシウム拮抗薬

動脈の壁に平滑筋細胞というものがあり、この細胞が収縮すると血管が細くなる→血圧が上がります。この収縮はカルシウムイオンが細胞に入ることで起こります。カルシウム拮抗薬は、その細胞にカルシウムイオンが入らないようにすることで細胞の収縮を抑え、血管を拡げ、結果血圧を下げる効果を発揮します。

なんでダメなの?

細かいメカニズムを語ると長くなるので省略しますが、この種の薬を内服している方がグレープフルーツ(ジュース)を摂取することで、薬の効果が強くなってしまう可能性があるためです。


血圧を下げる薬の効果が強くなる→血圧を下げる力が強くなる→低血圧になる→ふらつき、めまい等の症状につながる


このようなシナリオを避けるために注意喚起されています。

薬と食べ物の意外な関係の具体例②:薬と納豆

はい、ワルファリン(ワーファリン®等)です。薬剤師であれば常識中の常識です。


ワルファリン

血をサラサラにすることで、血液の中で血栓ができないようにする薬です。心筋梗塞や脳梗塞の予防・治療に用いられます。

なんでダメなの?

血液が固まる過程でビタミンKというものが必要なのですが、ワルファリンはこのビタミンKの働きを妨げることで血をサラサラにします。そのビタミンKが納豆には多く含まれており、せっかくワルファリンを服用しても納豆を食べることで効果を消し去ってしまうことになります。


ワルファリンで心筋梗塞の予防→納豆接種→ワルファリンの効果↓↓→体内で血栓発生→心筋梗塞発症


このようなシナリオを避けるために注意喚起されています。

ちなみに…


ワルファリンの効果が思った以上に出すぎてしまい、早期にワルファリンの効果を消すために拮抗薬(解毒薬と言った方が分かりやすい?)としてビタミンK製剤を使うこともあります。

薬と食べ物の意外な関係について思うこと

あくまで個人的な考えですが、血圧の薬とグレープフルーツの組み合わせについては絶対にダメというわけではないと思います(こんなことを言うと世の薬剤師さんに怒られるかもしれません。。)。


しかし、もし薬剤師が患者さんに「グレープフルーツジュースを摂取してもよいですよ」と説明をし、その後患者さんに不利益なことが起こると責任問題になるために、良いですよとは簡単に言えないのも事実です。


ワルファリンと納豆は絶対に併用しないで下さい!!これは絶対です!!


命に直接関わってくることなので、最大限の注意が必要です。


しかし、中には納豆をこよなく愛する方もいらっしゃると思います。


そういった方は、もしかしたらワルファリンに代わる比較的新しい薬(DOAC:直接経口抗凝固薬)に変更することで食べられるようになるかもしれません。一度医師・薬剤師に相談してみることをお勧めします。


※現在発売されているDOAC:プラザキサ®、リクシアナ®、エリキュース®、イグザレルト®

薬と食べ物の関係について:まとめ

はっきり書けないところが申し訳ないのですが、僕のスタンスとしては血圧の薬の説明をする際にグレープフルーツジュースの話しは積極的に患者さんに伝えない(何気なく柑橘類を口にする機会があるかを聞き出して、それに応じて伝えるか伝えないかを考えています)。


もし聞かれたら自分が思っていることを伝えるようにしています。


ワルファリンの納豆については最重要項目として伝えます。


納豆以外にも青汁やクロレラなんかにもビタミンKが多量に含まれており同様に注意が必要とされています。


そのため、何気なく患者さんの生活習慣等を確認して伝えるようにしています。


薬の説明ひとつするにせよ、こちらが思っていることを一方的に伝えるのではなく、患者さん個人個人に合わせた説明が必要ってことですね。


その他患者さんにも是非知ってほしいこと↓
www.yakuzari.work
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