個人的に大注目のドラマ「アンサングシンデレラ」を見ていて
「石原さとみ達が身に付けているポシェットには何が入っているのだろう??」
という疑問がありました。
同じ病院薬剤師としてもそう思うのであれば、一般の方からしたら薬剤師の白衣のポケットの中身なんてブラックホール状態ではないか?と思い、今回は私の独断と偏見含みですが病院薬剤師の白衣のポケットの中身を大公開したいと思います。
意外と感じたものや、「(私は)こんなものも入れているよ」というのがあればご意見を頂けたら幸いです!
※世の中の病院薬剤師が必ず同じものを携帯しているわけではありませんのでご了承下さい。あくまで「私の場合」という条件付きで紹介します。
- 私の病院薬剤師としての仕事着を紹介します
- 病院薬剤師のポケット(左胸ポケット)の中身を公開
- 病院薬剤師のポケット(右ポケット)の中身を公開
- 病院薬剤師のポケット(左ポケット)の中身を公開
- 病院薬剤師のポケット(ズボン)の中身を公開
- 病院薬剤師のポケットに時折入れている物を公開
- 病院薬剤師の白衣のポケットの中身は多種多様
私の病院薬剤師としての仕事着を紹介します
まずは私の仕事着を紹介します。
…なんとなくオシャレさに欠ける仕事着。
ドラマ「アンサングシンデレラ」を見た後だとなおのことそのように思ってしまう私の仕事着ですが、実はアンサングシンデレラの衣装の一つであるポシェットは使用しておりません。
もっと言えば、白衣はその日によって身に着けていたり身に着けていなかったり。
病院の制服として白衣は配布されていますが、必ず着用とはなっておらず、言い方は悪いですがその日の気分で雰囲気を変えることが出来ます。
私はどちらかと言うと無駄なものは着用したくない派なので、特段寒い日などではない限り白衣は着用しません。
いずれにせよ、白衣の有無に限らず持ち歩いているもの(ポケットに入れているもの)は変わりませんので、上の写真の赤丸部分に入っている物を順番に紹介していきます。
※本来であれば左胸ポケットに職員証をぶらさげていますが、個人情報の関係で外して撮りました。
病院薬剤師のポケット(左胸ポケット)の中身を公開
まずは左胸のポケットに入っているものを実物の写真と一緒に紹介します。
左胸のポケットに入っているものはコチラ↓↓
この中でペン以外のものについて触れてみます。
ハサミ
まず最初に紹介するのは、薬剤師の必需品と思われるアイテム「ハサミ」です。
「なぜハサミ??」
と思う方が多いかもしれませんが、必須アイテムです。
どういう時に使うかと言うと…
薬のシートを切る時に使うんですね。
だいたいの薬のシートは10錠で1シートとなっています(12錠で1シート、14錠で1シートなどの医薬品も存在します)。
なのですが、なぜか7錠単位で処方されることが多いのが厄介なところ(1週間=7日間という理由)。
例)ロキソプロフェン錠 1日1回 就寝前 7日分
例)ブロチゾラム錠 1回1錠 不眠時 7回分
などなど。
例で示した薬を準備しようとすると7錠準備しなければいけないのですが、10錠シートのものから7錠を準備するにはハサミの使用が必要となります。
調剤室には共用のハサミも置いてありますが、個人専用のハサミを身に着けていた方が間違いなく作業効率が上がります。
さらに、調剤室以外でも使用場面があります。
・病室で患者さんに服薬指導を行っている際に、錠剤を取り出しやすくするためにシートに切れ目を入れてあげる時
・医師による患者さんの処置の介助に入ってしまった際にハイスパン(包帯)を切る時
実はいろいろな場面で使用することがあるハサミ。
私が愛用しているハサミは新人の時(12年前)に100均で購入した普通のハサミです。
たとえ100円であっても物持ち良いですね(笑)
カンペ
「カンペ=カンニングペーパー」と言うと少し聞こえが悪いかもしれませんが、頭に叩き込むまでではない(もしくは覚えられない)けど重要な事というのはたくさんあります。
それらを簡単に引き出すことが出来る手頃な資料が世の中にはたくさんあります。
様々なメーカーさんがポケットサイズで本当に多種多様な資料を作ってくれており、その中で個人的によく使う内容が書いてあって、見やすい資料を常備しているのが一般的です。
冒頭の写真には本当に私のポケットに入っているカンペ達を並べています。
写真左から…
・抗菌薬略語集(自作)
・静注用免疫グロブリン製剤一覧
・輸液組成一覧
・DICと敗血症の診断(ポケットガイド)
となっています。
感染関連の業務を主としていることから敗血症関連だったり、到底頭に入りきらない様々な輸液の組成がまとまっているカンペを入れています。
そして、自作の抗菌薬略語集が入っています。
抗菌薬略語集(自作)
繰り返しになりますが、私は感染関連の業務を主としています。
感染制御認定薬剤師なんていう資格も一応持っていて、院内ではICT(インフェクションコントロールチーム)とAST(抗菌薬適正使用支援チーム)の一員です。
そのため抗菌薬についての知識は一般の薬剤師よりは持っているつもりの私ですが、主な抗菌薬の略語のカンペを持っています。
「なんで?」
と思う薬剤師の方が多いと思いますが、実際には使用しません。
それではなぜいつも持ち歩いているかと言うと…
「初心を取り戻すため」
です。
感染制御認定薬剤師と目指すと同時にICTやASTとして参加することになった私。
まず最初にやったことが各抗菌薬の略語をまとめることでした。
医師が記載するカルテには抗菌薬は略語のオンパレードで、抗菌薬の(というか感染症の)勉強をするために略語を頭に叩き込むことは必須でした。
そのためこのカンペを作成したのはもう何年も前のこと。
さすがに現在はカンペを見なくても略語は自然と出てくる状態ですが、時折このカンペを見ることで感染症の勉強をし始めた時の状況を思い返します。
その当時を思い出しながら後輩へアドバイス・指導を行うことで、少し現実味を帯びた内容を伝えられるのではないかと思っています。
もしこの記事を後輩が読んでも
「それは壮絶な勘違い」
と言われてしまうかもしれませんが、一応そう信じて先輩は頑張っています(笑)
楽天mini
最近左の胸ポケットに仲間入りを果たしたこいつを忘れてはいけません!!
それは、
楽天mini!
実は医療従事者はスマホを身に着けていることが多いです。
が、もちろんプライベートでの使用を目的としたものではありません!
何に使用するかと言うと、何かを調べる際に病院のどこにいても調べられるツールとして持っています。
最近では医師も外来の診察時に患者さんの前でスマホをいじることもあるようですが(賛否両論あるのは存じています)、大半は調べものをしていたり、計算機として使用しています。
医療情報というのは本当に膨大であり、医療関係の書物だけでも星の数ほど存在します。
それらを全て頭に入れている薬剤師はもちろん、医師も存在しません。
先ほど「カンペ」も登場しましたが、このスマホもカンペ代わりに使えます。
スマホの中に書物が何冊も入っているイメージでしょうか。
その場でインターネットで検索、元々ダウンロードしておいた資料を閲覧する、、などなど、こういった目的でスマホをいじっているのだな、と寛容に見ていただけたら幸いです。
病院薬剤師のポケット(右ポケット)の中身を公開
次は右ポケットに入っているものを紹介します。
輪ゴム
実はこの左ポケットに入っているものは、この輪ゴムのみです。
輪ゴムと他の物を一緒に入れていたら大変なことになりますからね(笑)
自然と輪ゴムを入れている場所は、それ単独の収納場所になることが多いと思われます。
この輪ゴムの使用目的は、薬のシート等をひとまとめにするためのものです。
仮に10錠包装のシート4枚を薬袋に入れるとき、輪ゴムで縛らずにそのまま4枚のシートを投げ入れることも可能です。
しかし、どうしても袋の中でバラバラになっていまい、管理が煩雑になる、紛失しやすくなる、などのリスクを負ってしまいます。
そのため原則輪ゴムで縛って調剤するのが一般的です。
1日に何本の輪ゴムを消費しているのかは不明ですが、ポケットいっぱいに入れた輪ゴムは1日でほぼ残ゼロになります。
それだけ仕事をした、、とも言えますが、他にもっとエコなやり方はないのかな?と日々疑問に思いながら作業を繰り返している私です。
輪ゴムに関しての一工夫
余談ですが、実はこの輪ゴムの縛り方にも工夫(と言うか注意点)があります。
それは
「輪ゴムをきつく縛り過ぎないこと」
です。
その理由は薬をもらう側のことを少し考えるとハッキリします。
手が不自由な高齢な方、病気(関節リウマチやパーキンソン症候群など)で手先が不自由な方、、
こういった疾患をお持ちの方の手元に、ガチガチに輪ゴムで縛られた薬が渡ったらどうでしょうか??
この輪ゴムをとるのも一苦労です。
薬剤師は薬がバラバラにならずに良かれと思って行っていますが、一部の患者さんからしてみたら有難迷惑でしかありません。
しかも、おそらくこういった小さな内容のクレームと言うのはなかなか言い出せない方が多いと予想されます。
それであれば、調剤する私達薬剤師が注意を払うのが一番手っ取り早いですよね!
この考えが少しでも世の薬剤師に伝わると個人的にはうれしいです。
病院薬剤師のポケット(左ポケット)の中身を公開
左ポケットに入っているものを紹介します。
調剤印
全薬剤師が所持しているであろうMy調剤印です。
普通のシャチハタ等とは違い、日付が容易に変更できるようになっています。
日付を変更するのを忘れて調剤印を押してしまうのは、おそらく「薬剤師あるある」かと思います。
調剤印についての議論
余談になりますが、アンサングシンデレラの調剤印に関してSNSで少し議論があったようです。
内容としては
「調剤印の薬剤師の名前は苗字だけで良いのか??」
という議論。
たしかに調剤薬局の調剤印を見るとフルネームのところが多い印象ですが、病院は苗字だけのところが多い印象です(あくまで私個人の意見です)。
そもそも病院であれば同一苗字になる可能性は少なく、苗字だけですぐに調剤した薬剤師を割り出すことが出来るためフルネームの必要はないというのが根底にあるのだと思います。
もし仮に同じ苗字であったとしても、苗字の後に名の一部を記載することで個人を特定できるようにしています。
例) 佐藤 一郎→佐藤 一
例) 佐藤 次郎→佐藤 次
個人的には調剤した人を特定できれば良い話しなので、わざわざフルネームにしてハンコの印字をより小さくする必要はないのかなと思います。
病院薬剤師のポケット(ズボン)の中身を公開
ようやくズボンのポケットに移行します。
右ポケットは常に予備として空けているので、下記で紹介するものを左ポケットに入れて持ち歩いています。
PHS
院内専用のPHSが入っています。
当院では薬剤師全員が所持しているわけではありませんが、業務上薬剤部にいないことが多い人(薬剤部長、病棟担当薬剤師など)が持っています。
私は感染業務専任ということもあり、薬剤部不在のことが多いため所持しています。
このPHSでも外線を使用することが出来るので、他病院との連絡や製薬メーカーへの問い合わせなどにも使用しています。
個人的には楽天miniとの2台持ちが腑に落ちないのですが、楽天miniは個人で勝手に所持しているものなので文句は言えませんね(笑)
あわよくば院内PHS→楽天miniにTELを転送できれば良いのですが、おそらく無理なのであきらめて2台持ちです。。
病院薬剤師のポケットに時折入れている物を公開
次に、常に持ち歩いているわけではないが必要時に持ち歩いているものを紹介します。
感染症プラチナマニュアル2020
感染業務を主としている薬剤師、主とはしていないが感染に興味がある薬剤師の多くが持ち歩いているであろう「感染症プラチナマニュアル」。
大変参考になります。
ポケットサイズのくせに、困った時に知りたいことがピンポイントで記載されており臨床でも大活躍の本です。
ただし、調剤室でひたすら調剤をしなければならない時は使用しないので、その時は所持せずに机に置かれている本書。
毎年内容がアップデートされたものが発売されているので、毎年購入しています!!
腎機能別薬剤投与量POCKET BOOK
腎臓病薬物療法をスムーズに行うための資料として大活躍する「腎機能別薬剤投与量POCKET BOOK」。
腎機能低下時(腎不全時)には、薬の量の調節が必要なことが多々あります。
添付文書などの情報から手計算で投与量を計算することも不可能ではありませんが、実際にはそのような時間がないというのが現場の声かと思います。
そのような時に活躍してくれるのが本書。
いくつもの薬剤ごとに減量基準がひたすら羅列されています。
この本を見ながら投与量を調節すれば大きな間違いはありません!
病院薬剤師の白衣のポケットの中身は多種多様
今回は、病院薬剤師の白衣のポケットの中≒ブラックホールの中を垣間見ていただきましたが、何か予想外の物は入っていたでしょうか??
個人的に他職種から「意外!」と良く言われるのは「ハサミ」「輪ゴム」ですかね。
「こっちからしたら必需品なんだけどね」
という感じなのですが、医療従事者でもそのようなイメージであれば一般の方からするともっと意外なものもあったのかな?
あっ、もしかしたら予想外に入っていない物として
「メモ帳(もしくはメモ用の付箋)は持ち歩いていないの?」
と思われる同業者の方もいらっしゃるかもしれませんが、私は専ら楽天miniに必要なことはメモするようにしています。
もしくは、左手の甲に殴り書きです(笑)
他の薬剤師の方がどのようなものを所持されているのかも興味があるので、もし良ければ教えて下さい。
コメント等お待ちしています!
今はドラマ「アンサングシンデレラ」に夢中です↓↓