Twitterのタイムラインに突如現れた「イソジン」という医薬品。
どうやら某府知事が「コロナに効果あり」的な感じの内容を会見で言ったとか言わないとか…
その後様々な店舗から「イソジン」が消えたとか消えてないとか…
某転売サイトでは「イソジン」が大量に高値で出品されているとかいないとか…
にわかに信じがたいことが現実に起きているようなので、私個人的な考えも含めて書き留めてみたいと思います。
※「イソジン」は商品名であり、成分としてポビドンヨード(PVPI)が含まれています
新型コロナにイソジンが効く??
おそらく今回の会見の根拠はこちらかと思います。
ポビドンヨード(PVP-I)を有効成分とするBETADINE®製品(イソジン®)の新型コロナウイルスに対する抗ウイルス効果を確認
簡単に言えば
「イソジンを新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)と一騎打ちさせたら、新型コロナウイルスを倒すことが出来た」
という内容になります。
ポビドンヨードに関しては強力な殺菌消毒薬とされており、新型コロナウイルスに対して抗ウイルス効果を持っていても甚だ不思議な話ではありません。
実際に過去に流行したSARSやMARSなんかにも効果があった旨も報告されています。
ですが、イソジンに関しては気を付けなくてはいけない点などが多数あります。
ということと「イソジンによるうがい」そのものにも賛否両論あることは認識しておかなければなりません。
イソジン使用による注意点
少なくても
「妊婦・甲状腺疾患を患っている方」
は要注意です。
やみくもに使用されないことをおススメします。
というか、直接お話しできるのであればやめてください!と声を大にして伝えたいぐらいです。
上記に該当する方は、必ず薬剤師や医師に相談して下さい。
イソジンうがいそのものに関しての賛否両論
実は、
「イソジンうがいには風邪の予防に関しての効果はない」
Am J Prev Med 2005;29:302-7
という報告が存在します。
書いてある内容をかいつまむと、
「うがいしない群と水を使用してうがいをする群を比較したとき、水でうがいをする群の方が風邪発症率を低下させる」
「うがいしない群とヨード液を使用してうがいをする群を比較したとき、ヨード液を使用してのうがいは風邪発症率を低下させなかった」
よって、この報告では水を使用してのうがいが一番!とされています。
ヨード液に効果がない理由としては、
・のどの常在細菌叢を壊してしまうことでウイルスの侵入を許してしまう
・のどの細胞にダメージを負わせてしまう
などが考えられているとのことです。
このことを冷静に考えてみると、
「今「新型コロナウイルス」が口腔内に侵入した→イソジンうがい実行→無事に排菌」
という道筋はあるかもしれませんが、普段から予防目的で頻回にイソジンうがい液を実行していると、口腔内環境が悪化してしまい、普段であれば防げた侵入を許してしまうことにつながるかもしれません。
今世の中は新型コロナウイルス対策に躍起になっていますが、私個人としては特別なものを使わずとも、まずは「手洗い・うがい」が一番かと思います。
今回の報道で「イソジン」が一瞬にして店舗から消えた、なんていうことも耳にします。
藁にも縋る思いでイソジンを求めている人もいるのかもしれませんが、少なくても転売目的で購入している人が多数いるとなると、日本は本格的にヤバイのでは…と思ってしまいます。
消毒用アルコール製剤、マスクの一件から何も成長していないようです。。
うがいで「ポビドンヨード製剤」を使わなければならない場面というのはあまりないように思いますが(あったらごめんなさい)、本来使用すべき方へしっかりと供給されることを祈る病院薬剤師の意見でした。
2020年8月5日:追記↓↓
やはりと言うか、予想通りと言うか…
医療用のポビドンヨードガーグル液7%「明治」が早くも出荷調整となりました。
今回の一件は一般市民ならず、医療従事者からも大量発注があったのかもしれません(文面を見る限り実際にあった?)。
なんか残念な気持ちになりますね。。
新型コロナ関連の記事はこちらにもあります↓↓
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