【※当記事は薬剤師等、医療従事者向けの内容となっています】
自主回収、出荷停止、出荷調整の情報が入ってきたのでお知らせします。
今回の薬品は四環系抗うつ薬の代表である
テトラミド錠
です。
自主回収等になった経緯をまとめました。
テトラミド10mgが自主回収・出荷停止になった経緯
自主回収・出荷停止になった理由は
「溶出性が承認規格に適合しない結果が得られました」
とのこと。
どうやら溶出性に問題があるようで、自主回収と出荷停止に踏み切ったようです。
規格に適合しないテトラミド錠を内服しても健康被害はない
溶出性の規格が適合しないとのことですが、これが果たして健康被害に直結するのか?
誰しもが疑問に思うところですが、メーカーの回答としては
「重篤な健康被害のおそれはまずないと考えております。」
とのこと。
承認規格に適合しなくなった理由としては、承認規格よりも溶出性が遅くなったためと配布資料からは読み取れます。
溶出性が遅くなる=内服してからの効果発現が遅くなる
ということが考えられます。
内服し始めても思ったような血中濃度の推移は得られないかもしれませんが、少なくても患者に大きな害はなさそうです。
もっと言うと、どの程度承認規格から外れてしまったのかにもよりますが、定常状態に達している患者の場合は尚更害はないと考えられます(定常状態になっていれば、多少吸収が遅れても半減期が長いため定常を保てるはず)。
テトラミド30mgが出荷調整になった経緯
こちらの製品自体には問題がないのですが、上記のとおり10mg製剤が自主回収・出荷停止になったため需要が30mg製剤に集中することが予想されます。
普段30mg製剤を購入していない病院、調剤薬局で10mg製剤の在庫がなくなる→30mg製剤の購入
と考えるのは必然で、私の病院もそのように対応をしようと担当卸さんと相談中です。
しかしメーカーとして早めに出荷調整をかけておかないと品薄・欠品になってしまう可能性が高いので妥当な対応かと考えています。
テトラミド錠の代替薬は?
今回の騒動でテトラミド錠が全く入手できなくなる可能性は大いにあります。
そのような時に代替薬等を考えなければなりませんが、テトラミド錠(成分名:ミアンセリン)にはジェネリックもなければ並売品もありません。
同じ四環系抗うつ薬という分類には
ルジオミール錠(成分名:マプロチリン)
テシプール錠(成分名:セチプチリン)
※薬品名は先発医薬品のみ記載
がありますが、簡単にこれら薬剤に変更してよいのかは甚だ疑問です。
しっかりと専門医の意見を確認しながら症例ごとに個別で考える必要がありそうです。
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