「ザバクサは尿路感染症と腹腔内感染症にしか使用できない」
と発売当初より縛りがありましたが、とうとうこの縛りが緩和されました!
元々メーカーさんからも適応追加に向けて動いているとの話しはありましたが、今回ようやく「敗血症と肺炎」の適応が追加となりました。
追加になったことで使用頻度が上昇するかもしれませんが、今一度この薬を復習してみたいと思います。
ザバクサの適応追加「敗血症、肺炎」の詳細を確認
まずはメーカーさんからの案内文書を見てみましょう。
ザバクサ【効能・効果】【用法・用量】追加及び添付文書改訂のお知らせ
次に改定された添付文書。
今までの適応だとある意味使用する科が限られていた印象ですが、今回の適応追加によりありとあらゆる科で使用できるようになった(使用しやすくなった)というのが事実かと思います。
ザバクサの適応などの特徴を復習
発売前から何かと話題に絶えなかった(?)ザバクサ。
発売当初の情報に関してはこちらのページにまとめてありますので、一度ご参照してもらえたらと思います。
ザバクサの特徴は何と言っても
「薬剤耐性菌に対する切り札!」
だと私は思っていて、決して漠然と使用する薬剤ではなく、慎重に使用場面を選んで使用されるべき抗菌薬だと考えています。
が、今回の適応追加で懸念されることもあります。。
ザバクサに「敗血症、肺炎」の適応が追加になったことでの懸念
単純に考えて
「適応追加→適応上対象患者の増加→処方機会の増加→処方量増加」
となるのが自然で、どんな薬でもある程度この規則に従うと思います。
つまりザバクサも今後処方される機会が増えることが予想されます。
しかしそうなると、使用量増加に伴って「薬剤耐性菌に対する切り札!」から遠ざかる可能性が…
実際にザバクサを使用することで救われる患者さんもいるでしょう。
しかし、本当にその患者さんたちはザバクサでなければならないのか??
というところが問題です。
切り札であるザバクサではなく、既存薬で十分なのであれば既存薬で対応するのが一番です(もっと言えば狭域の抗菌薬がベスト)。
薬剤耐性でもなんでもない通常の菌に対してこのザバクサが乱用されてしまうと、いざという時にザバクサ耐性の菌が出現してしまい、その人を助けられなくなる可能性がゼロではありません。
そうならないようにするためにも、いざという時のために取っておくという考えが大切かと思います。
ザバクサの適応追加に伴って私たちにできること
ここまで散々使用は慎重に!というスタンスで文章を書いてきましたが、出し惜しみしすぎるのももちろん良くありません。
このさじ加減はすごく難しいところですが、そこは処方医と院内の感染対策チーム(ICTやAST)の腕の見せどころではないでしょうか?
ちなみに私が勤務している病院では「ザバクサ=切り札」と考えている先生が大多数を占めているようで、感染対策チームで処方制限等もかけていませんが今までの使用症例は1症例のみです。
この選択が良いのか悪いのかは今後のデータを見ないと何とも言えませんが、周辺の施設等と情報交換をしながら使用場面を考慮していけたらよいと思います。
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