薬剤師とザリガニの奮闘記

~薬ザリ(yakuzari)の備忘録~

AMR対策アクションプランについて

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今回は感染関係の話を少し書きたいと思います。

AMR対策アクションプラン??

皆さんは「AMR対策アクションプラン」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?病院に勤めている方でも、感染関係の仕事をしていない方はなじみがないかもしれません。ですが、現在国を上げて政策を行っていることの一つで、個人的にはすごく重要だと思いますので書いてみたいと思います。ちなみにAMR→Antimicrobial Resistance(薬剤耐性)の頭文字です。

「抗菌薬(抗生物質)は風邪に効果がない」

上記のようなセリフを最近ニュースアプリや新聞、雑誌などで目にする機会が多いと感じることありませんか?

「Yahoo!意識調査」で実施されたアンケートでは抗菌薬が風邪に効果がないと知っている方は57%、知らないと答えた方は43%だったそうです。

おそらく医療従事者でも知っている人が100%にはならないのではないかと自分は考えていますが実際はどうでしょうか…。

とある診察室でのやり取り…

自分や自分の子供が風邪で体調不良のため病院にかかり、「ただの風邪ですね。安静にしていれば数日で治りますよ」と言われたとします。

パターン①

「念のため抗生物質も処方しておきましょう」と言われなんとなく一安心する

パターン②

「風邪なので抗菌薬(抗生物質)は必要ありません」と説明されたけど不安だから処方をお願いして、先生も渋々抗菌薬(抗生物質)を処方してしまう

パターン③

「風邪なので抗菌薬(抗生物質)は必要ありません」と言われ「そうですね。風邪なら抗菌薬(抗生物質)は不要ですね」と納得する

パターン①と②は一般的には×です。①は主に先生の問題、②は主に自分(患者側)の問題ですね。冒頭の「抗菌薬(抗生物質)は風邪に効果がない」ことを知っていれば自然とパターン③になりますが、先生・患者のどちらかが理解不足をしていると①、②のパターンになってしまうこともあります。

風邪の原因はほぼウイルスと言われています。抗菌薬というのはあくまで菌(細菌)を倒すものであって、ウイルスを倒すお薬ではないというのがポイントですね。

抗菌薬をたくさん使うと何がいけないの?

「一般的な風邪(原因はほぼウイルス)に対して抗菌薬(抗生物質)が効かないことは分かったけど、何がいけないの?」
→こう思う方はたくさんいらっしゃるかと思います。もちろん効果がない薬を飲むこと自体問題ですが(副作用が出るなど害でしかない)、特に抗菌薬(抗生物質)については一つ大きな問題があります。それは薬剤耐性です。

薬剤耐性??

読んで字のごとく、菌が薬剤に耐性を獲得することです。

耐性を獲得する=今までは効果があった薬が効かなくなる!!

菌も倒されてばかりじゃないんですね。特に、中途半端に倒されて生き残った菌というのが、進化してその抗菌薬が効かないようになって増殖したりします。
じゃあ、どういう時に菌が薬剤耐性を獲得するのかと言うと…

・抗菌薬(抗生物質)の乱用

・処方された抗菌薬(抗生物質)を飲み切らない(5日分処方されたのに、2日目には体調が良くなったからと言って3日目以降は飲まないなど)

・その他

つまり、ウイルスが原因と言われている風邪に対して効果がない抗菌薬(抗生物質)を使用することは一種の乱用につながってしまうんですね。

菌に薬剤耐性を獲得させないためにも、無駄な抗菌薬(抗生物質)の使用を避けるように世界規模で様々な議論がされており、日本でも「AMR対策アクションプラン」と題して様々な活動が行われております。この記事もその活動の一環となれば嬉しいです。

今日知っておいてほしいこと

「菌(細菌)とウイルスは別物であり、風邪の原因は大部分がウイルス。抗菌薬(抗生物質)は菌(細菌)にしか効果がない。抗菌薬を無駄に使うと(乱用すると)、薬剤耐性が起こる。」

※ただし、中には二次感染予防のために抗生物質(抗菌薬)が敢えて処方されることもあります。この記事の内容が全てではありませんので、あくまで参考程度ととらえて下さい。