薬剤師とザリガニの奮闘記

~薬ザリ(yakuzari)の備忘録~

エベレンゾ錠について~HIF-PHD阻害薬~

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血液透析患者さんが使用する薬剤に関して、大きな変動が目の前に来ているかもしれません。

なぜかって??

それは、

「エベレンゾ錠が発売になるから」

です!!

今回はこのエベレンゾ錠について院内で勉強会がありましたので、その備忘録を書いておこうと思います。
※とりあえず基本情報をアップします。詳細は随時追記していきます。

エベレンゾについては薬効薬理に関してはもちろんですが、保険上も扱いが少し複雑そうです。

エベレンゾ錠の基本情報

まずはいつもの通り、薬剤の基本情報を主に添付文書から抜粋してみたいと思います。

商品名

エベレンゾ錠

成分名

ロキサデュスタット

効能効果

透析施行中の腎性貧血

用法用量

赤血球造血刺激因子(ESA)製剤で未治療の場合
→通常、成人にはロキサデュスタットとして1回50mgを開始用量とし、週3回経口投与する。以後は、患者の状態に応じて投与量を適宜増減。最大投与量は3.0mg/kg。

ESA製剤から切り替える場合
→通常、成人にはロキサヂュスタトとして1回70mg又は100mgを開始用量とし、週3回経口投与する。以後は、患者の状態に応じて投与量を適宜増減。最大投与量は3.0mg/kg。

注意点

投与開始の目安は、血液透析患者ではHb<10g/dL、腹膜透析患者ではHb<11g/dLとする。

相互作用

・リン結合性ポリマー(セベラマー、ビキサロマー等)、多陽価イオン含有の経口薬(Ca、Fe、Mg、Al等)
→本剤の作用が減弱するおそれがあるため、前後1時間以上間隔をあけて服用すること

・HMG-CoA還元酵素阻害剤(シンバスタチン、ロスバスタチン、アトルバスタチン等)
→本剤によるOATP1B1阻害作用による当該薬剤の血中濃度上昇→当該薬剤による筋障害増量

・プロベネシド
→当該薬剤のUGT/OAT阻害作用により本剤の血中濃度上昇につながる

エベレンゾの勉強会で得た情報を羅列します

薬価収載日・発売日

薬価収載日が2019年11月12日、発売日が2019年11月13日。

近々中国でも発売予定。

米国等もこれから。

薬価

エベレンゾは3種類の規格が準備されているため、それぞれの薬価をお示しします。

20mg:387.4円
50mg:819.2円
100mg:1443.5円

エベレンゾ錠の名前の由来

「エベレスト」が名前の由来。

作用機序を見れば分かるのですが、エベレンゾ錠を内服することで体内を仮想低酸素状態にする→高地にいる環境に近づける→高地と言えば「エベレスト」というような流れのようです。

薬効分類

HIF-PHD阻害薬という世界で新しい薬効分類の薬剤です。
→低酸素誘導因子プロリン水酸化酵素(Hypoxia inducible factor prolyl hydroxylase)

副作用の発現頻度について

勉強会のスライドの中に、

「440数例中7例(1.6%)にシャント閉塞の副作用が発現」

とその他の副作用(浮腫や高血圧等)と一緒にグラフで示されていました。

浮腫や高血圧は良いのですが、シャント閉塞については気になる点がありました。

母集団にCAPD患者が含まれてたらパーセンテージ変わらない??

そこで担当MRさんに質問したところ、440数例中50数例はCAPD患者とのこと。

CAPD患者にはシャントが存在しないと仮定すると(HD→CAPDへ移行した方はあるかもしれませんが、おそらく稀)、この50数例にはシャント閉塞なんて起こりえません。

だってシャントがないんですもん。

そのため、1.6%という数字を出すのであれば「440数例-50数例≒390例」に母集団を置き換えて計算しないといけませんよね。

つまり、

7/390≒1.8%

1.6→1.8%と微々たる差かもしれませんが、データとして提示するのであればしっかりと母集団の情報もスライドに入れてもらいたいものだなと改めて感じた次第です。

エベレンゾ錠の薬ザリ的第一印象

準備中

エベレンゾの保険給付上の注意

中医協からの正式発表、メーカーからの正式案内が出てから情報をアップしたいと思います。

とりあえず一波乱ありそう。。

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